御嶽山噴火:「現実受け止めざるを…」愛知・野村さんの父

毎日新聞 2014年10月16日 22時54分(最終更新 10月17日 00時00分)

 56人が死亡、少なくとも7人が行方不明になっている御嶽山(おんたけさん、長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火で、長野県と岐阜県の災害対策本部は16日、年内の捜索を同日で打ち切ることを決めた。

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 愛知県刈谷市一色町の愛知大1年、野村亮太さん(19)は山頂付近で噴火に巻き込まれ安否が分かっていない。父敏明さん(54)は16日午後8時すぎに、亮太さんの叔父(51)とともに現地から車で帰宅した。報道陣に「残念な気持ちで、何も考えられない。答える気力もない」と話した。

 長野県木曽町に用意された家族らの待機所で「早く連れて帰りたい」と待ち続けていた。敏明さんによると、亮太さんが御嶽山に登るのは初めて。「前から登りたいと言っていた」。当日は叔父が同行したが、噴煙で周囲が真っ暗になり、はぐれたという。

 敏明さんは「ヘリコプターで上空から御嶽山の現場を見た。捜索中止は納得できないが、現実を受け止めざるを得ない。当局の人たちに自分の気持ちを伝えたが、決定事項なのでこれ以上は仕方がない」と語った。

 亮太さんは愛知県立知立東高校ではサッカー部の主将で、守りの要のセンターバックとしてチームを引っ張った。3年間指導したサッカー部顧問(37)は「口下手なおとなしい子だが、人一倍努力する選手で、責任感や忍耐力も強い。大学を出たら人のために役立ちたいと言っていた」と話した。

 小学生時代にサッカークラブで亮太さんと一緒だった後輩の中学3年生は「とても親切に教えてくれた」。近所の40代の主婦は「近所の子どもたちからも慕われていた。何とか早く帰ってきてと願ったが」と話した。【安間教雄、尾崎修二】

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