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【経済】

リニア新幹線認可 大量電力・地下水・残土問題抱え

2014年10月17日 14時00分

リニア実験センターで公開された新型車両L0系=9月、山梨県都留市で

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 国土交通省は十七日、JR東海が東京・品川−名古屋間で二〇二七年開業を目指すリニア中央新幹線の工事実施計画を認可した。手続き上の「着工」となり、同社は沿線住民への説明会や工事の入札を経て、年明けにも本格工事に着手する。高速鉄道の巨大建設プロジェクトが動き始めるが、採算性や大量の電力消費、長いトンネルが地下水に与える影響など環境面の懸念も指摘されている。 =関連<8>面

 超電導のリニア方式を高速鉄道に導入するのは世界で初めて。総延長二八五・六キロの86%がトンネルで、品川、名古屋両駅も地下になる。中間駅は各県一駅で相模原市、甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市を予定。品川−名古屋を最短約四十分で結び、東海道新幹線「のぞみ」より約一時間短縮される。

 総工費は当初見込みから九百三十五億円増え、五兆五千二百三十五億円。名古屋−大阪間は約三兆六千億円で四五年の開業を目指す。太田昭宏国交相から認可書を受け取った柘植康英(つげこうえい)社長は「環境保全や工事の安全、地域の連携を重視して早期実現に向けて全力で取り組む」と述べた。

 太田国交相は会見で「三大都市圏間の人の流れを大きく変え、国民生活や経済活動にも強い影響を与える重要な事業」と述べ、地域の理解を得ることやトンネル工事の安全確保などをあらためて求めた。

 営業路線の一部となる実験線は一九九七年から、山梨県都留市で試験運転を続けてきた。総延長は昨年八月、四二・八キロとなった。

 東海道新幹線は六四年の開業から五十年がたち設備が老朽化しており、リニアは大規模災害時のバイパスとしても期待される。一方、南アルプスなどの山脈を貫く長いトンネルを建設するため、地下水への影響や、東京ドーム四十六個分、五千六百八十万立方メートルという大量の残土処理など環境面への懸念も根強い。

<リニア中央新幹線> 車両の超電導磁石と、地上のコイルとの間の磁力により浮上走行し、最高時速500キロ超で東京と大阪を結ぶ計画の路線。特殊金属をマイナス269度に冷やし、電気抵抗がゼロとなる超電導状態を発生させる。浮上式鉄道の研究は1962年にスタートし、国は73年に東京から大阪までを基本計画路線に決定した。国は2011年にJR東海に建設を指示した。名古屋以西のルートは未定だが、国の計画では「奈良市付近」を通るとされている。

(東京新聞)

 

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