リニア新幹線:着工認可、27年に品川−名古屋間40分
毎日新聞 2014年10月17日 11時19分(最終更新 10月17日 13時13分)
太田昭宏国土交通相は17日、JR東海が2027年の開業を目指すリニア中央新幹線の工事実施計画を認可した。東京・品川−名古屋間を約40分で結ぶルートで、総工費は約5兆5000億円。JR東海は工事の着手に向け、沿線住民への説明会や用地取得などを開始する。
JR東海が4月に環境影響評価書を提出してから半年でのスピード認可となった。同社は45年に大阪までの全線開業を目指しており、名古屋−大阪間を含めた総工費は約9兆円に上る。超電導リニアの高速鉄道への本格導入は世界初の事業で、同社は工事費を自己負担し、国の資金援助を求めないと表明している。
リニア新幹線は、車両に超電導磁石を搭載。磁力によって約10センチ浮上する車両が最高時速約500キロで走行する。品川−名古屋間の所要時間は現在の東海道新幹線の1時間28分から約50分短縮される。大阪まで開通すると、2時間18分から1時間7分になる。
品川−名古屋間の路線の全長は286キロ。うち86%は南アルプスなどの山岳地帯や都市部の大深度地下を掘削するトンネルが占め、難工事も予想される。環境への悪影響が懸念される大量の残土の処分なども課題だ。太田国交相は同日の記者会見で「工事実施は妥当と判断し、認可することにした。JR東海には環境の保全や安全施工について、地域の協力を得ながら最大限努力していただく」と述べた。
認可を受けJR東海は、地域ごとに行う沿線住民への説明会や用地取得などを始める。これらに一定期間を要するため工事の着手は数カ月後になる模様だ。柘植康英社長は先月、報道陣に対し「年内の土木工事への着手は難しい」との見通しを示している。
国は1973年に中央新幹線の基本計画線を決定。2011年、JR東海を営業主体とする超電導リニア方式の新幹線整備計画を策定した。JR東海は同年から環境影響評価の手続きを開始。今年8月、国土交通省に対し、最終版の環境影響評価書を提出するとともに工事実施計画の認可を申請していた。【佐藤賢二郎】
◇リニア中央新幹線
超電導磁石を搭載し、磁力によって10センチ浮上する車両が最高時速約500キロで走行する。2027年の開業を目指す東京・品川−名古屋間の所要時間は、現在の東海道新幹線の1時間28分から40分に短縮される。大阪まで開通すると、品川からの時間は2時間18分から1時間7分になる。