日本人記者に韓国外交部が不快感「質問の自由にも限度」

産経記者起訴で日本人記者「韓国に言論の自由あるのか」と問いただす
魯報道官、強い不快感「ふさわしい質問を」

日本人記者に韓国外交部が不快感「質問の自由にも限度」

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が起訴された問題について、韓国外交部(省に相当)の魯光鎰(ノ・グァンイル)報道官が日本人記者たちと舌戦を展開した。この際、双方が強い調子で声を上げる場面もあり、一時険悪なムードとなった。

 産経新聞の名村隆寛編集委員は16日午後、ソウル市鍾路区の外交部庁舎定例会見室で、魯報道官に「きのう(15日)新潟で「新聞大会」(日本新聞協会主催)という会議があったが、そこでは加藤前支局長起訴問題について韓国政府を批判する声が強かった。韓国に言論の自由があるのかということだ」と述べた。

 そして「加藤前支局長は3カ月間、ここ(韓国)を離れることができない。報道官が言った通り法的な問題かもしれないが、事実上の人権問題ではないか」と問いただした。

 共同通信の粟倉義勝ソウル支局長も「日本政府からは、このことが報道の自由という問題を離れ、人道的な面で大きな問題になるという内容の官房長官発言があった。国連人権理事会に問題提起するという言及もあった」と加勢した。

 時事通信の吉田健一ソウル支局長も「大統領府の当局者が韓国メディアに『この問題に関して必ずや民事的・刑事的責任を問う』という調子で発言したため、純粋に法的な問題だとは言いがたくなった。どうしても外交問題に発展することになると思うが、日韓関係にどのような影響があるか魯報道官の考えを聞きたい」と言った。

 こうした日本人記者たちの質問攻めに、魯報道官は強い不快感を示した。

 魯報道官は、「この問題は市民団体の告発に対して正当な法手続きに基づき決定されたもので、法執行上の問題だ。3カ月の出国禁止延長問題も、関係当局で刑事裁判手続が開始されたことを考慮、関連法令に基づいて通常の措置を取ったものだ」と説明した。

 続いて、日本人記者たちに「そのようにやましくない立場なら、検察当局に行って話をしてほしい。韓国は厳然たる民主国家であり、三権が分立している。政府の一部処(省庁)である外務部の報道官が司法手続き本然の事案について話すのは不適切だ」と述べた。

 魯報道官はまた、「質問の自由にも限度がある。大韓民国外交部の定例記者会見に来て大韓民国政府の公式見解に挑みかかり、疑問提起するような発言をするのはかなり不快だ。外交部報道官が行う定例会見にふさわしい質問をしてほしい」と言った。

 その上で、「納得するにせよ、しないにせよ、外交事案について質問をしてほしいという意味だ。(政府が)火曜日(14日)に見解を発表したのだからそれを受け入れ、その前提の下で質問をすべきだ。それにもかかわらず、そのことに対して挑みかかるような発言を続けるのか。礼儀正しい日本の方々がすることとは思えない」とも言った。

 そして、魯報道官が質問に答えずに定例会見室を後にしようとすると、日本人記者たちが魯報道官に向かって質問に答えて行くよう大声を上げる場面もあった。

 特に、産経新聞の名村編集委員が魯報道官に「確認したいことがある。大韓民国という国は人権国家だとはっきり言えるのか」と質問をぶつけた際には、韓国側報道陣からも不快感を示す声が出た。

 これに対し魯報道官が「先生(名村編集委員)の考えはいかがなのか」と尋ねると、名村編集委員は「そう信じたいと思う」と答えた。それを聞いた魯報道官は一瞬、あきれた様子で笑い、「人権国家だ」と言った。

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