JR東海が品川(東京都)―名古屋間で2027年開業をめざすリニア中央新幹線について、太田昭宏国土交通相は17日、JR東海の建設計画を認可した。大量の残土の処分などの環境対策や安全性、資金面などで計画に問題はないと判断した。JR東海は直ちに用地交渉に入り、年明けにも工事を始める方針。総工費約9兆円の巨大事業は、国の基本計画決定から40年余を経て建設段階に入る。

 太田国交相はこの日の閣議後会見で、南アルプスを貫く長大トンネル工事や温室効果ガス増大などの環境影響について、「国交相意見で求めた環境への措置について、JR東海がすべて(対策を)行うと言っていることを確認した」と述べ、影響は抑えられるとの認識を示した。さらに品川から名古屋まで40分、大阪まで1時間強で結ぶことを挙げ、「3大都市圏の人の流れが劇的に変わり、大きなインパクトをもたらす重大な事業。アクセス向上で地域の利便性に寄与する」と計画の意義を強調した。

 太田国交相から認可書を手渡された柘植(つげ)康英(こうえい)社長は「日本の大動脈輸送が計画から建設に移る節目で、身の引き締まる思い。地域との連携に十分配慮し、確実に早期に進めたい」と述べた。今後、まず各地での事業説明会や測量、設計、用地買収に入るという。