「実話の不思議体験 神様のようなお爺さんと奇跡の瞬間」
高校2年生の冬のこと。
原付で通学中(校則違反だ)に、トラックに衝突して一時的だが意識不明の重体に陥った。
その後、顔中体中怪我だらけ血まみれではあったが、何とか一命はとりとめた。
手足、肋骨、骨盤まで折れまくり、歯も4本失った。
そして、極めつけはもう2度と歩けないだろうという診断を受けた。
下半身の神経系が破壊されていて、治癒は絶望的だということだった。
当時の俺は、病室で毎日のように泣いていた。
自暴自棄になって自殺も何度も考えた。
生きる気力なんて、微塵もなかった。
そんな、ある日のこと。
俺は夢を見た。
おかしな夢だった。
夢の中には、見たこともないちょっと小汚い爺さん(時代劇に出てきそうな風貌だった)が出てきて俺に言ったのだ。
爺さん「お前の足、治してやろう。」
俺「うるっせえ。お前なんかに治せるわけねえだろ。ほっとけよ。」
爺さん「なんと、生意気で無礼な奴だ。こんな奴を救うのかと思うと、面倒になってくる。○○さんの達っての願いだから、仕方なく聞いているものの。」
俺「・・・・・○○さんって、うちの婆ちゃんのことか?」
爺さん「うむ。その通り。」
うちの婆ちゃんは、もう10年近く前に死んでいた。
とても信心深い人で、俺は重度のおばあちゃん子だったから、いつも可愛がってもらっていたのだ。
夢の中の会話で覚えているのはここまで。
たぶん、この先も話は続いていたはずなんだけど、全然思い出せない。
確か、爺さんが最後に言っていたのは「消える」とか「忘れている」とか、そんなことを言っていた気がする。
で、不思議なのはここから。
この夢が関係しているのか分からないけど、俺の身体の傷は、その後みるみる良くなっていき、医者が驚くほどの回復力を見せた。
担当の医師曰く、
「奇跡としか言えない。」
のだとか。
そして、事故から1年経ったときには俺の脚はかなり動くようになっていた。
数年後には、100%の完治とは言えなくとも95%と言っていいくらい動かせるようになっていた。
俺のあの夢が、足の治癒と関係しているのかどうか、正直のところ分からない。
夢の中の爺さんが何者で、お婆ちゃんとどういう関係なのかも分からないし、そもそもあれは単なる夢だったということも考えられる。
でも、現実的に俺の脚は奇跡的に良くなったのだ。
だから、俺には世の中には不思議な力ってあるんじゃないかな、とそんな風に思えるんだ。
死んだお婆ちゃんが、俺を救ってくれたと考えると、ちょっと嬉しい気もするし。
すべては偶然かもしれないけれど、俺は一生、婆ちゃんと、あの爺さんには感謝しなければならないと思っている。
終わり
2014年06月10日