現代新書カフェ
2014年10月17日(金) 寺尾紗穂

連載「原発で働くということ」
第4回 高橋南方司さんの場合(下)

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人を育てなくなった原発

電力自由化が始まったことも追い風となり、原発に求められる効率化の波は、定期検査期間の短縮という形で押し寄せた。タイトになった作業時間のしわ寄せは怪我や事故という形で労働者にかかっていくが、現場への影響はそれにとどまらない。見えてきたのは原発の効率化のために労働者教育がないがしろにされてきた実態だった。

「教育できる熟練者が定年になっていく。若い人たちは机上の理屈はあってパソコン管理もできるけど、現場は計算だけではできない作業がいっぱいある。メーカーも一次業者さんも技術者がいなくて困っている」

経験のない若手がパソコンで出た計算データの結果を、前の現場ではこれでやってたからやってくれと作業員に押し付けるが、作業員もそんな仕事はやったことがなく、齟齬がおきる。それまでは日立や東芝の指導者が来ていたというが、それがなくなり後進が育たないという。

「パソコン上で出す数値と実際の研磨とは、全然違うんです。肌で感じて目で見て感じるわけです。分解するにしても、元に戻す接着面が錆びたりしてると研磨するんです。ようするに水蒸気が漏れたりガスが漏れたりするといけないから。ぴたっとなるように。そういうことを教えていくべきなのに、時間がないからできない。分解したものを組み立てるっていうのはすごい技術が必要。それをパソコンでここが何ミリずれてるとか、そういうことになってくるから、現場の作業員も面白くないところがあるし。でも人が機械でボルトあけたものは、コンピュータであけたのよりぴたっといくんですね、不思議ですね」

現在いる熟練者たちは、若手に技を教えようとするが、結局時間が足りず自分でやってしまうという。

「何十トンて蓋をかぶせるんでも、オペレータが何ミリ単位で下ろしていく。オペレータが上手だったらガクンガクンとならないけど、免許取りたての若い人にはとてもあぶなくてやらせられない。熟練者がいなくなってきている」

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