イベント
スマホアプリのマーケティングにおける重要なポイントとは――韓国アプリのトレンドを紹介するカンファレンスで実施された,Twitter Japanやサイバーエージェントなど5人の業界関係者によるセッションをレポート
このカンファレンスは2部構成になっており,第1部「韓国アプリの最新トレンド 2014」では,NIPA(韓国情報通信産業振興院)が選定した7社のスマホアプリデベロッパがそれぞれの成功事例を紹介。第2部「日本国内スマートコンテンツの最新トレンドとマーケット展望」では,日本のスマホアプリ関連事業に携わる以下の5名によるトークセッションが行われた。
本稿では,イベントのうち第2部の模様をレポートしていこう。
関連記事:
・メディア向けカンファレンス「韓国アプリの最新トレンド2014」をレポート。韓国情報通信産業振興院が選定したアプリ7本の成功事例を紹介セッションで最初にテーマとなったのは,アプリのマーケティングで何を重視しているかだ。
サイバーエージェントの岡田氏は,アプリアイコンの検証がとくに重要だと述べた。同社における事例では,同じアプリであっても,アイコンに起用するキャラクターによってクリック率が2倍近く変わることがあるそうである。
そのためサイバーエージェントでは,先行で配信するiOS版アプリの事前登録や本配信時にアイコンなどの検証を行って成功パターンを確立したのち,Android版を配信する流れが多くなっているという。
medibaの奈良岡氏は,アイコン検証やスクリーンショット検証に加え,アプリストア最適化(ASO)対策が最重要になっていると話す。すなわち,App StoreやGoogle Playに掲載されるアプリ紹介文章の語句の選択,ターゲット層の絞り込み,あるいはTwitterやGoogleにおけるその時々のトレンド(ホット)ワードの採用,といったあたりが重要になるとのこと。
続けて瀬尾氏は,アプリのタイトル名を多くの人にツイート/リツイートしてもらうための施策例を紹介。アプリの情報を一度にまとめてではなく複数回に分けて小出しにする方法や,事前登録の段階で公式アカウントをフォローし,リツイートすることでインセンティブを与えるキャンペーンなどが最近増加している,と述べていた。
ユニメディアの冨永氏は,事前登録などの段階でBuzz(いわゆる口コミ)を生みやすくするためには,日本の“タイトル名を省略する文化”に配慮することも重要だと言及する。たとえば「パズル&ドラゴンズ」だったら「パズドラ」,「モンスターストライク」だったら「モンスト」というように,4文字程度の略称で表現できない名前は,なかなかツイートされないと述べていた。
ここでテーマが変わり,次は「獲得したユーザーをいかにして育成していくか」,すなわち,いかにして定着させてビジネスにつなげていくか,というトークが行われた。
奈良岡氏は,ゲームであればチュートリアルのタイミングや長さ,ツールであれば使いやすさや分かりやすさ,サービスの内容をうまく伝えることが,継続利用のカギになると述べる。
冨永氏は,1人のユーザーが継続的に毎日遊ぶのは3〜4タイトルまでに限定されるとし,その中に選ばれるためには,岡田氏の発言にあったような「凝った運用」が求められると述べる。
関連して,最近の日本のゲームアプリのトレンドとしては,「モンスト」のようにスマートフォンならでは機能を活かしたインタフェースが主流になっている半面,ビジュアル的には「ファイナルファンタジー レコードキーパー」のような,昔ながらのゲームを思わせるものが,リアルを追求したものよりも増えつつあるとコメントしていた。
3つめのテーマは,最近増加しているキュレーションアプリについて。なおキュレーションアプリとは,情報を収集,選別してまとめ提供するもので,「Gunosy」や「SmartNews」などが挙げられる。
岡田氏は,まだ圧倒的に成功していると言える事例がないため,何とも言えないと前置きしつつ,世間に広く知られていないがエッジの効いたニュースをプッシュ通知で知らせることがポイントになると話す。そういった意味では,今のところ「Antenna」がもっともうまくやっている,と岡田氏は評価していた。
瀬尾氏は,Twitter Japanでも,無料プロモーションの事例として注目しているポイントであると話す。たとえば,同規模のキュレーションアプリであっても,Twitterと連携しているところとそうでないところでは,Twitter上に流れる情報量が10倍近く差が出るそうである。
さらに瀬尾氏は,Twitterでは,ほかのSNSよりもユーザー同士が興味/関心の軸でつながっているケースが多いため,誰かがあるニュースを話題にするとフォロワーがリツイートする可能性が高いと述べ,情報を拡散するのに向いているSNSであるとまとめた。
冨永氏は,これまでがそうだったように,今後も日本ではあまりタブレットは普及しないだろうとコメント。その理由を,スマートフォンの大型化と,諸外国との用途の違いにあると述べた。
たとえば北米だと,タブレットをゲーム機の一つとして利用しているユーザーは少なからずいるが,日本におけるタブレットは一般的に,ビジネスツールとして認識されている。それであれば,画面サイズの大きいスマートフォンでも事足りるというわけだ。一方で,写真の掲載されたニュースを読む,あるいはeコマース用の端末として使う,あるいは動画を視聴するといった用途においては,タブレットにもまだチャンスがあると補足していた。
5つめのテーマは,動画を使ったプロモーションが話題に上がった。
岡田氏は,動画による説明は,これまでゲームアプリに触れたことがない層に向けたイントロダクションとして効果があるとコメント。
瀬尾氏は,Twitterで動画を共有できる機能を追加したことに言及。動画の入ったツイートのクリック数は,そうでないツイートの10〜15倍に伸びているとのこと(おそらくこれは,つぶやきに動画再生ウィンドウを表示することを指していると思われる)。
ちなみに,フォロワーを多数抱えている企業アカウントの中には,イベント開始直前に予告動画を流して,盛り上がりのピークを作ることにチャレンジしているところもあると話していた。
奈良岡氏は,コンテンツ自体の魅力が最重要だとしつつも,とくにインディのデベロッパであれば,TwitterやFacebookを使ったプロモーションが効果的だと話す。また,インディ以外のデベロッパでも,最初は最小限の形からスタートして,ユーザーの動向に合わせて内容を拡充していくことが主流であると述べていた。
岡田氏は,ゲームアプリ自体の設計も重要であるとし,そもそもの設計がきちんとしていれば以後の展開もやりやすいが,そうでないと運用も含めて大変になってしまうと話していた。
最後のテーマは,グローバル展開におけるローカライズである。
岡田氏は,日本ではシンプルなユーザーインタフェースが好まれる傾向にあり,海外のアプリをそのまま提供しても,ごちゃごちゃしていて分かりにくいと感じられるケースが多いと話す。なおこれは,日本だけの独特な傾向とのこと。
瀬尾氏からは,日本におけるTwitterの利用傾向も,海外と異なる部分が多いという話が出た。
たとえば,ゲームのガチャでレアアイテムが出たらツイート,あまりよくないものが出てもツイートと言うように,何でもかんでもツイートするのは,日本だけの傾向なのだそう。ちなみに最近は,プレイしているゲームタイトルごとにTwitterのアカウントを作り,使い分けているユーザーが増加しているとのこと。
瀬尾氏は,ゲームパブリッシャ/デベロッパがユーザーとどう付き合っていくのかという点も,今後の課題となるだろうと話す。企業の中には,オピニオンリーダーになり得るTwitterユーザーを見出して直接アプローチし,プロモーションにつなげようとする動きがすでに出てきているそうだ。
最後に,冨永氏は,日本のスマートフォンアプリ市場は,きちんとしたマーケティングをすれば,一番売上を出しやすいと説明。韓国をはじめ,諸外国の企業が市場に参入することに期待したいと述べ,トークを締めくくった。
- この記事のURL:
- 「FF レコードキーパー」配信から3週間で200万DLを達成。記念キャンペーンも
- 「メトロ リダックス」のプロモーションムービー第2弾が公開に。クリーチャーとの戦闘シーンや荒廃した街の様子など,印象的な場面を収録
- DAoCの再来となるか。MMORPG「Camelot Unchained」の初回プレαテストが成功裏に終了
- 「ダンガンロンパ」みんなのくじ第3弾が登場。苗木 誠なりきりブランケットなど
- 敵は“史上初のテロリスト”。主要キャラクターを演じるキャストを紹介する「アサシン クリード ユニティ」の最新トレイラーが公開
- 「地球防衛軍2 PORTABLE V2」の発売日が2014年12月11日に変更。空爆攻撃や多彩なサポート手段を持つ新兵科「空襲兵エアレイド」の装備情報が公開
- Mad Catz,発売延期されていたXbox One用ステコンを10月30日に発売
- 空中戦艦を操るオンラインシューター「Dreadnought」のゲームプレイを紹介するムービーが公開
- 「アサシン クリード ユニティ」の関連イベント「アキバステルス」が11月2日に開催。秋葉原で“ソーシャルステルス”を体験するのだ
- 「ピコットキングダム」,最高難度「真王ギルガメッシュ」登場。ガチャイベントも