ベネッセの大規模情報漏えい事件、JALマイレージ、ヤマト運輸、佐川急便、リクルートIDの会員情報漏えい、さらにLINEアカウントの乗っ取り被害、iCloud、DropboxのID情報流出騒ぎなど、最近、“人ごとではない”身近な範囲の情報漏えい事件が多発している。これらは昨今の大多数を占める、システムや管理手段の脆弱(ぜいじゃく)性をコンピュータなどで電子的に突くセキュリティ脅威だ。ますます大規模化、高度化、複雑化するサイバー犯罪に対し、各々相応のセキュリティ対策を心がけている。
ただ、情報セキュリティの脆弱性はシステムの欠陥など以外に、それを管理する人間の体制の悪さも脅威になる。管理体制、あるいは電話口で重要情報を巧みに聞き出すソーシャルエンジニアリングのほか、見渡すともっと基本的な「盗み聞き」へ対処が意外ととられていないことに気がつく。PCやスマホ、Webサービス、メールなど電子的な手段は発達したが、ビジネスには対面して重要なことを会話する手段も同様にある。会議室、打ち合わせスペース、銀行や役所、病院などの窓口、ホテルや駅などの共用スペース。飲み会などもそうだ。
このような基本的な“盗み聞きのリスク”にどんな策があるか。ITカンファレンスイベント「ITpro EXPO 2014」に音響メーカーのヤマハが「スピーチプライバシーシステム VSP-1」と呼ぶ機器を展示していた。
VSP-1は、独自の情報マスキング技術を備えた“スピーカー”だ。機器から出る音により、会話の内容を聞き取りにくくする。BGMを流したり、あるいはノイズ音を出して会話をかき消す従来の方法に対し、独自の技術で生成する情報マスキング音で、他人に聞こえる内容を不明瞭にする仕組み。クラシック音楽によるBGMや、従来のノイズマスキング音より、小さい音量レベルでも効果が得られる点が強みだ。
サイズ感は1.5Lのペットボトル飲料ほど。足下、床置きのほか、壁掛けも可能だ。価格は10万円(税抜)。「窓口業務のある医療、金融、行政機関などからの要請で開発したが、最近は企業導入の引き合いも増えている。隣接した会議室での音漏れ対策などにも適用でき、置いてスイッチを入れるだけという手軽さも評価いただいている」(ヤマハ説明員)
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