問題行動:「中学と同じことが起きる」小学校教員の悲鳴
毎日新聞 2014年10月16日 23時25分(最終更新 10月16日 23時33分)
文科省の13年度問題行動調査で、荒れる小学生の増加が明らかになった。「中学校と同じことが起きている」。小学校教員からは悲鳴が上がり、専門家は「荒れの背景には貧困など社会のひずみが子供のストレスとなって表面化している」と指摘。学校や行政は対応に追われている。
「精神的に不安定で感情を抑えられない児童が目立つ」。大阪市立小のベテラン男性教諭(60)は現状をそう明かす。反抗的な態度を見せ、ささいなことで教室を飛び出したり、突然壁を殴ったり。広島県の市立小校長は「調査統計には含まれないが『言葉の暴力』も目立つ」と嘆く。教員とすれ違いざまに「うざい」「死ね」と暴言を吐く児童が珍しくない。東京都の区立小校長も「注意すると、かみついたり、いすを投げたりする。過度な指導は『体罰』になりかねず先生も遠慮がち。それが暴力行為を助長させている面もある」と対応に悩む。
自治体は対応に乗り出してはいる。熊本県教委は08年度に小中学校での暴力行為が前年度52件増の171件となったことを受け「子どもの居場所作り」を重視した対策を促進。異学年交流の活発化や教員が連携して生徒指導に当たる学校が増加した。13年度は135件に減り、県教委は「取り組みが浸透した結果」と説明する。福岡県教委は02年度から「非行要因」として不登校への対策を強化。担任とは別の教員によるマンツーマンの相談体制などに取り組む。
小中高校の暴力行為件数が13年度1万187件と、4年連続で全国1位だった大阪府。大阪市教委は来春から、在籍校とは別の施設に特別教室「個別指導教室(仮称)」を設置し、問題行動を起こした生徒を厳格に指導する方針だ。
重い傷害や薬物所持、強盗などを起こしたケースが対象。出席停止にした上で、専門スタッフが警察などと連携して指導する。市教委は「あくまで出席停止措置の受け皿。排除ではない」と説明するが、教員からは「邪魔者扱いと受け取られ、逆に傷つける」「規範意識は集団生活の中で身につく」と疑問の声も上がる。