KAIZENの働き方がエンジニアに刺さる理由
増井:直也さんからサービスについて、ここまで詳しい話は初めて聞きましたが、とても面白いですね。
きゃんち:初めてサービスについて聞いたって、じゃあ普段はどんな話をしているんですか?
伊藤:エンジニアのイベントに来ている人たちって、会社の製品やサービスよりも、それをどうやって作っているか、どんなツールを使っているかのほうが興味を持つんです。だからサービスの説明はそこそこに、エンジニアの興味のあることに集中して話すことが多いですね。最近はKAIZENのリモートワークについて、話をすることが多いです。
きゃんち:エンジニアさんはリモートワークのどんなことに興味あるんですか?
伊藤:「どうやったら、リモートでも仕事をちゃんと整理できるんですか」とか、「チームワークはうまくいくんですか」とか、そういう話ですね。ほかにもシステムをどうやって作っているか、自動化をどうするか、情報共有とか日々のコミュニケーションをどうやっているとか、そういうのが大好きなんです。
きゃんち:コミュニケーションの話も好きなんですか?意外な気がします。
伊藤:エンジニアは、コードを書いているときに話しかけられると、仕事にならないので。だから、いかにコミュニケーションを非同期でやるかを、常に考えているんですよ。プログラミングって、受験の試験問題を解くみたいな集中力を要求されるから、途中で割り込まれることが、かなりのストレスなんです。でもやっぱりコミュニケーションしないと、良いものは作れない。そこで、それらを両立させようとする。
きゃんち:コミュニケーションを「取りたくないときは取らず、好きなときに取る」にはどうするかってことですか?
伊藤:そう。だから彼らがTwitterとかを大好きなのは、話したいときに話せばいい、忙しいときは無視していてもいい、という非同期のツールだから。
増井:LINEとかだと、話しているうちはやめられないから難しいですよね。
きゃんち:Twitterはいい距離感ですよね。
伊藤:例えば「Slack」というチャットソフトがあるんです。「Flickr」という写真共有サービスを作った人が創業して作ったサービスで、使い勝手がよくておしゃれなんですよ。これを業務で使って、テキストでコミュニケーションします。
きゃんち:確かにおしゃれですね。
伊藤:とはいえ、すぐに返事をもらいときもある。当社ではリモートワークで働いているエンジニアもいるので、「Sqwiggle」というツールも導入しています。「Sqwiggle」は遠隔で作業しているチームメンバーの様子が一望できるアプリケーション。ビデオチャットもこれでできます。起動するとカメラが有効になり、メンバーのスナップショットが表示されます。
写真をクリックすると、その人をすぐ呼び出せるんです。これを使うと「何時にビデオチャットをしよう」と事前にタイミングを合わせることなく、すぐ始められるんです。エンジニアは今風の道具を使って、仕事をするのが好きなんですよね。
きゃんち:そういうエンジニアさんの気持ち、わかります。
A/Bテストの功罪とは?
きゃんち:A/Bテストの話に戻りますが、今日の話を聞いて、何事もA/Bテストをやった方がいいなと思いました。例えば自分に合うコミュニケーション方法って、何だろうとか。
伊藤:うーん、A/Bテストはとても効果的な手法である一方、弊害もあるんです。結果が全部数字で出るんですが、逆に言えば、数字で出ることしか評価できないんですよ。そして数字だけでは「面白かった」「これが楽しかった」というファジーなことはわからない。
例えば、先のボタンの例でA/Bテストの数字をものすごく上げるには、ボタンをメチャクチャ大きくする方法があります。そうすればみんな間違って押してしまいますから。だから必ずしもその数字がユーザーにとって快適とか、このサイト好きとかを表現することにつながらないんです。
きゃんち:あ、確かにそうですね。
伊藤:これはA/Bテストに限らず、ウェブの世界全般に言えることですけどね。例えば広告を貼ると儲かるのでたくさん張っていくと、いつの間にか広告しかないサイトになっていて、気づいたときにはユーザーはこのサイトに来たいと思わなくなっているというような。
A/Bテストも数字を上げるために一生懸命取り組んでいたら、数字は上がったけど、「何でこのサイトボタンしかないの?」という風になってしまうこともある。だからなんでも数字で調べればいい、というものでもないんです。
きゃんち:A/Bテストをするとき、ユーザーの属性と紐付けることもできるんですか?
伊藤:できますよ。DMP(データ・マネージメント・プラットフォーム)という言葉が注目されていますが、そのソリューションを提供している事業者と組むことでそれを実現してます。
増井:ところで、DMP事業者は何をキーにして情報収集しているんでしょうね。
伊藤:クッキーそのほかでいろいろやってますね。いろんなサイトから大量にデータをもらって名寄せしている。場合によってはプライバシー的にぎりぎりなところもあるから、扱いには気をつけないといけない。
増井:結構ぎりぎりですね。
きゃんち:でもそういうの、最近メチャクチャ増えていますよね。
伊藤:この間、2ちゃんのまとめサイト見ていたら、その前に見ていた洋服のサイトの広告が出てきて、ビックリしました(笑)。
増井:僕に表示される広告は、おおむねリラックマばかりです(笑)。どのサイトに行ってもリラックマの広告が出る。
きゃんち:私は最近、結婚相談所の広告ばかり(笑)。
伊藤:実はこれも、先ほどの数字の話と少し関係あるんですよ。僕はゲームが好きなので、ゲームの広告が出るとついつい見てしまうんです。だからゲームの広告がどんどん出てくるんです。僕に対してゲームの広告を出しておけば、おそらく広告効果の数字上は良い数字になるはず。
でも、本当にそのユーザーはゲームにしか興味がないかというと、そうではない。僕もゲーム以外に興味があるものがありますから。だけど、ゲーム以外の広告にも興味があるにも関わらず、数字だけを見て一番効果の高いものを追っていくと、ランダム性がなくなってくるんです。
これはウェブ全体の課題です。ウェブはデジタル情報で構成されているから、既存のビジネスに比較してもいろんなことを数字化しやすい。数字化しやすいからといって、何でも数字化して効果測定するという作り方が発達しすぎると、歯止めがかからなくなるんです。
本来「面白い」とか「快適」みたいな部分は、まだまだデザイナーや表現者による「こういうことがしたいんだ」ということに依存しているところ。何でも数字で判断しようとする傾向が強まると、「それじゃ効果が出ないでしょ」という数字の説得に負けてしまうんですね。
そんなわけで僕たちは、A/Bテストというツールを提供する一方で、お客さまにA/Bテストを使うべき場面とそうでない場面みたいなところを、きちんとコミュニケーションして使っていただけるように努力しています。
きゃんち:それは重要なことですよね。
伊藤:たとえばソーシャルゲーム業界なんかも、数字至上主義なところがありましたね。ただ最近はスマートフォンが普及したことで端末の表現力が向上して、面白いゲームが提供できるようになった。そして面白いものにユーザーが集まるようにもなってきたんです。ゲーム自体も面白いし、ちょっとお金を払ったら、もっと楽しめるという世界になってきています。
きゃんち:「面白さ」は大事ですよね。
伊藤:「面白さ」という数字にできない部分をどうやって最大化していくか。それはごくごく当たり前のことなんだけど、それを忘れがちなウェブ業界の課題でしょうね。
⇒次回「伊藤直也さんおススメのゲームを教えてください」に続く!
きゃんちのギークガールになりたくて(KAIZEN platform編)バックナンバー
【今回取材に協力していただいた皆さん】
伊藤 直也氏
ニフティ、はてな取締役CTO、グリー統括部長を経てフリーランスとして活動。ブログやソーシャルブックマークなど10年間、ソーシャルメディアの開発と運営に携わる。
著書に『入門Chef Solo』(達人出版会)『サーバ/インフラを支える技術』『大規模サービス技術入門』 (技術評論社) など多数。2013年9月よりKAIZEN platfrom Inc. 技術顧問。GitHub:@naoya Twitter:@naoya_ito
伊藤直也の仕事の流儀
ナビゲーター 増井雄一郎さん
1976年、北海道生まれ。札幌大学経営学部卒業。大学時代に起業。2003年にフリーランスとなり、Ajax、Ruby on Railsなどを使ったWebアプリ開発や執筆で活躍するギークエンジニア。08年に渡米し、中島聡氏とともにアプリ開発会社を立ち上げる。10年に帰国し、Appceleratorの「Titanium Mobile」エバンジェリストとして活躍。
現在は株式会社トレタCTO。
Twitter:@masuidrive
レポーター 喜屋武 ちあきさん
きゃんちのニックネームで親しまれる。
職業はオタク>アイドル。グラビアアイドル復帰なう。アニメ・ゲーム・マンガ・活字が大好き。男装ユニット風男塾のリーダーでもある。技術とプログラミングを学び、ギークガールを目指す。
喜屋武ちあきオフィシャルブログ:きゃんちまいんち!
Twitter:@kyanchiaki
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