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生活保護のリアル みわよしこ

なぜ生活困窮者のアパート入居は困難を極めるか?
個室シェルター「あわやハウス」見学記
――政策ウォッチ編・第81回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第81回】 2014年10月17日
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東京都中野区で、2014年7月に運営が開始されて間もない個室シェルター「あわやハウス」。中は、どのようになっているのだろうか? どのように運営されているのだろうか? 今回は、「あわやハウス」の見学レポートである。

居心地よさそうな個室シェルター

 今年2014年、社会運動家の稲葉剛氏が設立したばかりの「つくろい東京ファンド」は、第一弾企画として、東京都中野区内で定員7名の小さな個室シェルター「あわやハウス」の運営を開始した(前々回参照)。

 「なぜ、シェルターは個室である必要があるのか?」

 といった基本的な疑問をお持ちの方は、ぜひ前々回も合わせてお読みいただきたい。

 先日、筆者は「あわやハウス」を見学させていただく機会を得た。今回は、施設の詳細をレポートする。

このフロアの全7室は、すべて「あわやハウス」。昭和を感じさせる雰囲気でいっぱいだ
Photo by Yoshiko Miwa

 「あわやハウス」は、西武新宿線のとある駅から徒歩2分の場所に位置する。一車線の道路に面して昭和30年代~40年代に建ったと思われる社宅・企業の寮などが立ち並ぶ一角を抜け、古い木造家屋が目立つ一角にさしかかったところに、周辺の風景に自然に馴染んだ鉄筋コンクリート3階建ての古いビルがある。ビルは、築50年ということだ。その3Fの全室が「あわやハウス」の施設となっている。7名の利用者を受け入れることの可能な7つの個室シェルター(うち2名分は、雑誌「ビッグイシュー」の販売者が使用)、管理人の居室、会議やちょっとした倉庫代わりに用いられている区画が、薄暗い廊下を挟んで向かい合っている。

 案内してくれた稲葉氏は、

 「今、利用者さんのいない部屋は、ここだけなんですよ」

 と言いながら、2Kの一室に筆者を案内した。

台所の調理スペース。コンロは安全面を考慮してIHヒーター
Photo by Y.M.

 玄関から中に入ると、6畳以上はありそうなキッチンがあり、そのダイニングキッチンからトイレ・浴室・2つの居室にアクセスできるようになっている。居室のそれぞれには、鍵がかかるようになっている。

 筆者は、台所に冷蔵庫・炊飯器がないことに違和感を覚えつつも、案内されるままに居室に入った。居室の各室には、寝具・テーブル・食器、さらに炊飯器と小さな冷蔵庫があった。

 「炊飯器と冷蔵庫は、各個人それぞれに用意しているんです。食べ物の恨みは恐ろしいですから」

 と、稲葉氏は苦笑する。なお、電気掃除機は共同で1台を使用しているということであった。

 古くくたびれた感じの建物ではあるけれども、室内は清潔に整えられ、なかなか居心地がよさそうだ。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、2匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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