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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

在日「新華僑」とともに中国人観光客誘致
新たな試みにトライした石川県小旅行

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第228回】 2014年10月17日
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 体育の日を含む10月の3連休を利用して、日本に生活の基盤をもつ新華僑の経営者たち10人ばかりと秋の石川県を駆け足で回ってきた。台風19号に脅かされながら、結果から言うと、その影響をほとんど受けずに楽しい2泊3日の小旅行を敢行した。

石川県小旅行の目的

 実は、この旅行は単なる仲間たちとの遊びではない。いくつかの目的と課題を抱えての行動だ。

 まずは、facebookで親しく付き合っている日本人のM氏が8ヵ月前に、首都圏での生活にピリオドを打って、石川県能登半島の奥深いところに移住して農業を始めた。異国ではないが、それも住みなれたところを離れての生活だから、きっといろいろと他人に安易に言えない悩みなどはあるだろう。そのM氏を少しでも元気づけるためにも、会いに行こう、というのが旅の目的の一つだ。

 そしてM氏は農業だけでの生活は果たしてやっていけるのか?私たちはなにをすればその応援になるのか?旅行に一緒に行く仲間たちの大半は経営者だから、経営者の目で現地を視察してみよう。そして応援策を考えよう。それがもう一つの隠れた目的だった。

 さらに、石川県はインバウンド、とくに中国人観光客の受け入れにずっと積極的に動いている地方自治体である。私も数年前からそのインバウンド事業を応援する形で、お手伝いをさせていただいている。石川県をもっと多くの中国人、とくに在日中国人に知ってもらおうというのも目的の一つだった。実際、今回、石川県を訪問した仲間の多くは同県をはじめて訪れた。今回の仕掛けがなければ、おそらく石川県との出会いはもっと遅れてしまっただろうと思う。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり・・・中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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