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» 2014年10月17日 06時00分 UPDATE

会社員の“虎の子”にメス:「年功型賃金」の何が悪いのか…40代以上の恨み節むなしく響く (1/3)

安倍晋三首相が持ち出した年功型賃金制度の見直し。その背景には女性の社会進出支援など多様な人材が仕事で成果を生み出せる環境整備があるというが……。

[産経新聞]
産経新聞

 9月29日に再開した政労使会議の冒頭、安倍晋三首相が経済界の不意をついて口にした「年功賃金の見直し」が大きな波紋を広げている。子育て世代に手厚く賃金を分配すべきという考え方で、女性の活躍を後押しする安倍政権が、若年世代までも味方につける巧みな戦略が透けてみえる。しかし、これから年功賃金制度の恩恵を受ける40代以上の会社員にとっては、はしごを外される形で、住宅ローン返済など人生設計の練り直しを迫られる恐れもある。

安倍首相が口火

年功型賃金は40代以上のサラリーマンにとって“はしごを外される”ことになりかねない 年功型賃金は40代以上のサラリーマンにとって“はしごを外される”ことになりかねない

 “会社員の聖地”である東京・新橋の歓楽街では「やってられないよ」というおじさんたちの恨み節がむなしく響く。日本経済をデフレから救い、会社員の賃上げをも後押しする「アベノミクス」に対しては正面から反対したくないのが本音だが、これほど四面楚歌(そか)の状況になると、愚痴のひとつも言いたくなるようだ。

 安倍政権が女性活躍を看板に掲げ、女性役員や女性管理職の目標値を持ち出したため、自らの出世の可能性が遠のいたおじさんたちもいるはずだ。さらに、「残業代ゼロ」制度と揶揄(やゆ)されているホワイトカラーエグゼンプション(働いた時間に関係なく、成果に対して賃金が支払われる仕組み)の導入を検討するだけでは収まらず、ついに40代〜50代前半の会社員の“虎の子”である年功賃金制度にもメスを入れようとしている。

 年功賃金制度は、勤続年数、年齢などに応じて賃金を上昇させる人事制度で、終身雇用、企業別労働組合と並んで、日本型雇用システムの典型だ。社員の生活安定に寄与し、同じ会社に長年勤めあげる動機付けになるメリットがある。会社側も賃金の査定が容易になり、長期間雇用を視野に社員に独自技術や技能を磨く投資ができる。

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