野菜ジュースの真実、伊藤園・カゴメに聞いた
主力商品の製法や成分はどうなっているの?
──伊藤園の「1日分の野菜」について伺います。パッケージに「野菜350g分使用」「栄養もきっちり摂れる」と書いてありますが、本当ですか。大半の栄養素は失われ、食品添加物で補っているのでは?
伊藤園:実はこの話は今に始まったことではなく、2007年10月12日付の朝日新聞で「『1本で1日分の野菜』実は栄養不足」というふうに取り上げられたことがあります。
もともと、厚生労働省は「1日350gの野菜を取りなさい」と量的な面で推奨しているものの、栄養素についての明記はありません。なぜかというと、全国各地で食べている野菜が違うのと、それぞれの野菜に含まれる栄養素が違うからです。それで厚生労働省は栄養素の基準までは決めなかった。とにかく350g取ると、国民はだいたい健康に暮らせることが疫学的にわかってきたので、まずは量を取ることを推奨したのです。
そこで、われわれは350gの野菜を使ったジュースを作ろうというコンセプトで、2004年5月に「1日分の野菜」を発売しました。ただ、「野菜350g分使用」としていますが、もともとの野菜は540g分使っています。540gを搾って、搾りかすを全部取り除いています。
──食物繊維などですか。
伊藤園:食物繊維といっても、水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維があって、水に溶けない不溶性の食物繊維は搾りかすとして取り除きますが、水溶性の食物繊維は、野菜ジュースの中に若干残っています。トクホ(特定保健用食品)の商品によく含まれている「難消化性デキストリン」がそれに当たります。
野菜ジュースの栄養素は全部が全部失われるわけではありません。ビタミン類も同じです。
──ビタミンCは熱で壊れやすいのでは?
伊藤園:確かに熱によって減少しますが、ニンジンなどは生のまま放置しておくと、アスコルビナーゼという、ビタミンCを失活させる酵素がどんどん働いて、日にちが経つほどビタミンCが失われていきます。このアスコルビナーゼの働きを、熱で止めてビタミンCを保つ面もあるということをご認識いただきたいと思います。