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【阿比留瑠比の極言御免】
言論の自由を行使するとは
土井氏にとって言論の自由とは、自分の主義・主張、思想・信条に沿う範囲でのみ守るべきものなのかと感じた。集会で土井氏はこうも述べていた。
「この教科書は、従軍慰安婦はいなかったという人たちが書いている」
「従軍慰安婦」という言葉は戦後の造語であり、当時はなかったという当たり前の主張を、いつの間にか慰安婦の存在自体の否定へとすり替えている。
自分とは異なる意見を持つ相手に一方的にレッテルを貼り、それに基づいて攻撃を仕掛けるという政治手法は、当時の左派・人権派によく見られた。
最近では朝日新聞が今年8月5日付朝刊の記事「慰安婦問題の本質 直視を」で、「『慰安婦問題は捏造(ねつぞう)』という主張には決して同意できません」と書いたのが記憶に新しい。
「慰安婦報道は捏造」ならば分かるが、問題自体が捏造だなどとは誰も言っていないはずだ。これも朝日に対する批判者にレッテルを貼る意図がうかがえる。
特に慰安婦問題に関しては、旧日本軍による組織的な強制連行説に疑問を示し、異論を口にしただけで、人でなしであるかのように非難され、白い目で見られる時代が長かった。