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大震災知事対応 「初動に不満」福島半数

 東日本大震災の発生後、岩手、宮城、福島の被災3県の有権者に知事の初動対応への評価を尋ねたところ、福島県知事の評価が最も低かったことが14日、東北大大学院情報科学研究科の河村和徳准教授(政治意識論)の調査で分かった。「県レベルの政治を信頼できるか」という問いでも福島県が最も低く、河村准教授は「福島第1原発事故の当事者であることが最大の要因」と分析している。


 知事の初動対応について「かなり評価する」「ある程度評価する」との回答は宮城が78.1%、岩手が67.6%、福島が39.2%。村井嘉浩宮城県知事が最も高く、佐藤雄平福島県知事に大きく差をつけた。逆に「あまり評価しない」「まったく評価しない」は福島53.2%、岩手24.1%、宮城15.7%だった。
 知事や県議会など「県レベルの政治を信頼できるか」でも「信頼できる」「やや信頼できる」が宮城57.0%、岩手47.0%、福島35.0%の順だった。「あまり評価できない」「まったく評価できない」は福島が60.2%で最も高く、岩手48.2%、宮城37.0%。県政界全体の評価でも福島が最も低かった。
 県や市町村職員の初動に対する評価では、「かなり評価する」「ある程度評価する」が宮城67.5%、岩手66.9%、福島47.0%。「あまり評価しない」「まったく評価しない」は福島41.0%、宮城22.5%、岩手22.3%。知事の評価に比べ差は小さいが、福島の評価が低かった。
 津波被害がメーンの岩手、宮城両県に比べ、福島では津波被害に加え、原発事故の影響が現在も続いており、被災3県の比較調査で全体的に低い評価につながっているとみられる。
 一方、河北新報社が11、12の両日、福島県の有権者を対象に行った聞き取り調査(回答者200人)では、原発事故から3年半の佐藤県政について「大いに評価する」「評価する」は計59.0%で、「評価しない」「まったく評価しない」(24.5%)を大きく上回った。除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設建設問題に道筋を付けた点が、高評価につながったとみられる。

[調査の方法]日本学術振興会東日本大震災学術調査の一環として、東北大の河村研究室がことし5〜8月、岩手、宮城、福島、茨城4県の有権者各1000人を抽出し、調査票を郵送した。各県1000ずつのサンプルに対し、回収率は43%。紙面化に当たり、被害が大きかった東北の被災3県で比較した。

◎動き見えず被災者不安に

<東北大大学院情報科学研究科・河村和徳准教授>

 被災3県の知事比較から思い浮かべたのは、4月の旅客船セウォル号沈没事故で政府対応を誤り、事故前まで60%前後あった支持率を急落させた韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の姿だ。
 初動ではリーダーが最前線で汗を流している姿を見せないと、被災者の安心にはつながらない。「初動の見える化」に失敗した点では、朴大統領も佐藤雄平福島県知事も似ている。福島では「初動の見える化」に失敗した首長が軒並み落選する「現職落選ドミノ」現象が起きたが、根底にあるのは信頼の欠如だ。
 被災地の知事に最も問われるのは決断力だ。東北大調査で佐藤知事の初動対応への評価は低かったが、震災対応全般を問う河北新報社の調査では高い評価となった。佐藤知事が中間貯蔵問題で「決断」したことに加え、引退を表明したことが影響したのではないか。

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2014年10月15日水曜日

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