「汐美学園を、もっともっと楽しくしませんか?」
何か悪いものでも食べたのか、彼女――白崎つぐみは言った。
前振りがあったわけでもない。それ以前に、彼女と知り合いだったわけでもない。
唐突に、白崎は言ったのだ。
「そういう話なら、生徒会に掛け合った方がいいと思うけど」
と、喉まで出かかった言葉を腹の底まで押し戻したのは、俺――筧京太郎の悪癖だった。
情に棹させば流される、とは有名な小説の一節だが、しばらく後の俺の心境はまさにそれだ。
川の果てまで流れ流され、河口付近を漂っていた俺の周囲には、同じように流された奴らが集っていた。
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