【10月15日、さくらフィナンシャルニュース=大阪】
■見返りとして「性接待を受けていた」と思わせる記述
「『風俗活用』発言をした橋下徹大阪市長の風俗体験を書いても名誉毀損にならないと文春応戦」と題して報道していた事件の、その後の展開が明らかになったのでお伝えする。
原告は大阪市長の橋下徹氏で、文藝春秋(本社:東京都千代田区)を相手どり、約1100万円の損害賠償を請求している。事件番号は、平成26年(ワ)第2017号。
忘れている読者もいると思うので、まずは、訴えの原因を整理しておく。
被告の文藝春秋は、発行する雑誌『週刊文春』(平成25年5月30日号、以下、「本件雑誌」)で、原告の特集記事(「ドキュメント 維新壊滅"慰安婦辞任"へのカウントダウン 橋下徹の断末魔」、24〜31ページ)を組んだ。
被告は、その中で、原告が風俗店関係と思われる飛田新地の組合と業務上の関係を結んでいたことなどを記載。原告は、仕事の「見返り」として性接待を受けていたと読者に思わせるような記述法が名誉毀損にあたると訴えていた。
これに対して文春側は、本件雑誌は、原告と風俗業界との「関係」を指摘するものであり、仕事の「見返り」としての性接待について記述するものではない、と応戦していた。
■憂さ晴らしで風俗は活用したが、仕事の「見返り」として接待受けてない
8月27日の弁論準備手続において、原告は上記の文春の主張に対して以下の反論を展開した。
本件雑誌の小見出しには「ソープ接待にご満悦 橋本徹との風俗街の深イイ関係」(p27)とあり、この箇所は、原告と「風俗街」との業務上の「関係」の、「見返り」として「接待」があったと読め、原告の社会的評価を低下させる。
原告自身が、憂さ晴らしのための風俗店の活用を認めているわけだから、原告が個人的に風俗に通っていたという事実の指摘なら、名誉毀損とは思わない。しかし、仕事の「見返り」として性接待を受けることは、社会的立場を利用して個人的快楽を追求する人間だという印象を与える点で名誉毀損である、と原告は主張する。
■公共性と真実性で勝負
上記の原告の論に対して、10月3日の第3回弁論準備手続で、被告が反論した。被告の主張の論旨は以下の二点であった。
1.本件雑誌は、平成25年5月の原告による「風俗活用発言」の背景を説明しているため、市民の知る権利に奉仕し、公共性がある。
2.本件雑誌のための取材は、信頼性の高い取材元に依拠しているため、真実性が高い。(被告は取材元をいくつか列挙している)
文春の反論文を読んだ限りでは、仕事の「見返り」としての性接待があったと思わせる文章なのかどうか、という原告の主張に応答するコメントはなかったようだ。被告は、記事内容を細かく原告と議論するよりはむしろ、記事掲載に至るまでの条件や手続(公共性と真実性)が違法でないことを強調しようとしている。
次回期日は11月14日、第4回弁論準備手続である。原告は、どのような「名誉」が毀損されたと考えているのか。被告が本件雑誌により何を表現したいと考えていたのか。
原告の「名誉」の中身や、被告の「表現の自由」のニュアンスが、徐々に明らかになってきたように思う。【了】
フリーライター 井上 聡/いのうえ・さとし。1983年生まれ、福岡県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程在学中。専攻は美学・国文学。趣味は加茂川沿いをランニング。
「風俗活用」発言をした橋下徹大阪市長の風俗体験を書いても名誉毀損にならないと文春応戦(http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20140808_2)
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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