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形成外科

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 眼瞼下垂

 
 9.眼瞼下垂・眼瞼痙攣に関する知識が広がらない理由 


 様々な体調不良を引き起こす眼瞼下垂・眼瞼痙攣ですが、医療業界でさえ知識が広まっていません。その理由を考えてみました。

おおむねこの6点です。
1.研究された歴史がまだ浅い
2.コペルニクス的転回は理解されるのに年月を要する
3.治療成績がまちまち
4.未病という概念
5.わかりにくい眼瞼下垂
6.決定的証拠がない、脳や心が関わってくる


1.研究された歴史がまだ浅い
 「眼瞼下垂症を手術したら頭痛が治った」という患者さんたちが多くおられて、その理由を研究したら脳幹、自律神経を眼瞼にある裏の神経がコントロールしていると推測されてから十数年程度しか時を経ていません。形成外科の学会で発表はされてきましたが、まだまだ頭痛を研究する方たちなどには理解されていない状態です。医学の教科書にも載ってないので当然医学生(信州大学以外の)は習いません。つまり、まだ医療関係者もほとんど知らないのです。

2.コペルニクス的転回は理解されるのに年月を要する。
 今まで常識とされたことをひっくり返すような発表を「コペルニクス的転回」と言いますが、これは理解されるどころか迫害を受けることがあります。例えばそのコペルニクスは「天動説」を信じ込んでいる人からの迫害を恐れ、「地動説」の発表を死後にしてもらいました。地動説を吹聴したガリレオが迫害されたのは有名ですよね。
今の医学は脳が体の神経を全て司るという考えです。瞼ごときの故障が脳に悪影響を及ぼすとはまじめに考えてもらえないのです。「心の不調、自律神経失調の重大な原因を発見」などノーベル医学生理学賞に選ばれてもいいような研究であると思うのですが、科学雑誌には雑誌の評価者が理解できないから掲載されないようです。この知識が広まるのはいつのことやら・・。
形成外科学会には生理学の研究者/興味を持つ人すらほとんどいませんし、とにかく機序を理解することが難しい。学会の重鎮から信州大学の先生への挨拶は「あんたのところの発表はさっぱりわからん」なのです。

3.治療成績がまちまち
もし、眼瞼下垂の手術を行って100%の患者さんの頭痛、心の不調が完全に治ればもっと評判も広がったでしょう。問題は眼瞼下垂に対する術式が多くあり、施設ごと、術者ごとに大きな違いがあります。そもそも、開瞼障害のみを治すのか、いろいろな症状も治すのかということで術式が違ってきますし、患者さんのまぶたの構造によっても違ってくるべきなのですが、一律で同じ術式を行われることも多いのです。眼瞼痙攣を伴うかどうか、まぶたに靭帯性の抵抗組織があるかどうか、ミュラー筋の状態がどうなっているか、これらを十分評価せずに手術を行うと、たまたま条件があった患者さんしか調子が良くならないのです。期待を裏切られた患者さんが多いというのが、この治療が広まらない一つの理由と思われます。ただし、十分評価した上で治療すれば成績は100%になるかと問われればそれは「いいえ」になってしまいます。例えば痙攣を起こしている筋肉は100%除去してしまうと合併症(目が閉じられなくなる)が必発であるため不可能ですし、長期の罹患、薬剤の使用などで脳幹などに不可逆的な変化が起きてしまっていると考えられる方もおられるからです(脳幹には手が出せません)。まだまだ発見されていない小さな原因もあるかもしれませんし。

4.未病という概念
頭痛持ちや肩こりなどは、「未病」などと言われ、病気として扱ってもらえないことが多くあります。本人は生活に支障が出るほど苦しんでいるのに、「肩こりなんて誰にでもある」と、軽い症状を持っている人に他のひとと同様の軽い障害と考えられてしまう。それどころか、精神的な面から起きていると言われてしまったりする。もし、生命に係わる重い病となれば、研究もされるでしょうし、真剣に考えてもらえます。それが「未病」つまり病気以前の状態と評価されるところに知識の広まりに対する障害、ひいては患者さんの不幸があります。

5.わかりにくい眼瞼下垂・眼瞼痙攣
 見た目では眼瞼下垂・眼瞼痙攣はわかりにくいことが多いです。つまり、症状はあっても「目が開いているから眼瞼下垂以外に原因があるだろう」「痙攣なんてしてないじゃないか」と判断されてしまうのです。これらの見分け方は別のページに載せていますが、一般には知られていないので、判断もされないのです。

6.決定的証拠がない
 状況証拠は信州大学から多く発表されています。例えば、動物実験で瞼の神経に染料を染み込ませると「夢を見る中枢」と言われる脳幹の青斑核が染まるという発表がありました。
まぶたの状態と、自律神経の指標である「手の発汗量」の測定、脳血流の測定など、『仮定』を裏付ける『証拠』はたくさんありますが、直接人の脳に電極を突っ込んで計測するなんてことは当然ながらできません。いくら状況証拠を発表しても『理解したくない人』に「他の経路かもしれないだろ」と言われてしまうのです。
日常的に誰もが実感できる状況証拠を述べます。
真っ暗な部屋で寝ていて、物音で目が覚めたとします。目をしっかり開くのと半分つぶった状態とでどちらがまた、眠くなるでしょう?これは、まぶたのセンサーからの信号が大脳を刺激する状況証拠です。眠いけど、起きていようとする子供はやたらにまぶたをこすります。これもそうです。
重いものを持ち上げるとき、眉間に皺を寄せて、歯を喰いしばります。これらは、まぶた、歯の根っこのセンサーから脳を経由し、自律神経(交感神経)を興奮させるためです。
いろいろな状況証拠がありますが、信号が心の入った脳を経由するために話が難しくなってしまうのです。「心」を客観的に数値で評価する方法もないですし、様々な要素が「心」に影響してしまいますから、これからも決定的な「物的証拠」はでてこないでしょう。

 
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