輸出減:自動車除けば赤字、韓国経済の構造的問題が露呈

輸出減:自動車除けば赤字、韓国経済の構造的問題が露呈

 ロッテケミカル、Sオイルなどパラキシレン(PX)を生産する韓国の石油化学メーカーは、今年に入り非常事態を迎えた。中国産のパラキシレンで市場が供給過剰に陥ったからだ。

 中国企業はこれまで韓国から輸入したPXを中間財として利用し、合成繊維(ポリエステル)の原料である高純度テレフタル酸(PTA)を生産し、世界市場向けに衣料を輸出してきた。

 しかし、中国産PXが供給過剰となり、韓国産PXの輸入が減少し始めた。今年1-8月のPXの対中輸出は25億ドルにとどまり、前年同期を11%も下回った。

 韓国貿易協会によると、今年1-7月の対中中間財輸出は前年同期比0.6%増にとどまった。中国企業が自力で中間財を生産し始めたため、韓国が中間財や部品を中国に輸出し、中国企業がそれを加工して最終製品を欧米などに輸出するという貿易モデルは限界に達した。韓国の対中輸出は今年5-8月に4カ月連続で前年実績を下回った。

■品目と地域に偏り

 表面的には今年9月まで32カ月連続の貿易黒字を計上している韓国だが、中をのぞくと不安感が高まっている。韓国の輸出が特定の品目や地域に偏り過ぎているという構造的な問題が露見しつつある。

 韓国の輸出は自動車と自動車部品の黒字を除くと、貿易収支は昨年時点で194億ドルの赤字となる。地域的にも対中貿易を除けば187億ドルの赤字だ。

 このため、主力製品と主な輸出先が揺らげば、輸出全体がぐらつく構造だ。韓国貿易協会のクォン・ドハ中国室長は「昨年の韓国の対中輸出に占める加工貿易向け輸出の割合は48%で、ライバルの日本(35%)、香港(36%)をはるかに上回り、米国(14.5%)に比べると3倍以上高い」と指摘した。

 2010年に148億ドルの黒字だった対EU貿易も昨年は73億ドルの赤字に転落。今年1-8月も55億ドルの赤字となっている。対外経済政策研究院のソ・ジンギョ貿易通商室長は「対EU輸出には造船業が大きな役割を果たしているが、財政危機から脱却できない欧州では船舶の発注が少なく、影響を受けた」と分析した。

■主力産業の競争力も低下

 主力産業の競争力が低下しつつあることはさらに根本的な問題だ。スマートフォン、自動車など主力輸出業種も中国製の低価格スマートフォンによる攻勢や現代自動車のストライキなどで、ウォン高の壁を乗り越える原動力を失っている。

 今年1-9月の無線通信機器(スマートフォンなど)の輸出はドルベースで11.2%増えたが、ウォンベースでは5%の伸びにとどまった。自動車はドルベースで3.5%増だったが、ウォンベースでは2%減少した。

 延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は「ウォン高でドル建ての輸出が増えているように見えるが、これを見誤った政策を取ってはならない。競争力を強化し、対中輸出を最終消費者を狙う方向へと転換すべきだ」と述べた。現代経済研究院のイ・ジュンヒョプ経済動向分析室長は「円安よりもスマートフォンなど主力輸出製品の競争力低下が韓国の輸出にとって重大な問題だ。手遅れになる前に輸出競争力を回復できる方策を探るべきだ」と訴えた。

金承範(キム・スンボム)記者
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