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香港デモ支持の元雑誌編集者・作家… 中国、知識人ら50人拘束

産経新聞 10月15日(水)7時55分配信

 ■「4中総会」前に言論統制を強化

 【北京=矢板明夫】中国の治安当局は、インターネットで香港市民の抗議活動を支持したことなどを理由に知識人らを次々と拘束し、14日までに少なくとも50人を連行した。改革派とされる著名作家ら約10人の著書も発売禁止にした。中国共産党の重要会議である第18期中央委員会第4回総会(4中総会)を20日に控え、言論統制を一層強化する狙いがあるとみられる。

 北京の人権活動家らによると、14日までに当局に拘束されたのは、元雑誌編集者の郭玉閃氏、女性作家の寇延丁氏、詩人の王蔵氏ら北京だけで約50人。ほかの地域にも多くの拘束情報がある。拘束理由はほとんど「騒ぎを起こそうとした」となっているが、警察が本人や家族に見せた拘束状に具体的な容疑の記入はない。

 インターネットで香港市民の最近の抗議活動を支持する文章を発表したことが共通しており、家族らは「香港のデモと関係している」と推測している。

 外国メディアの取材を受けている最中に警察が現れ、一緒にいた外国人記者も一時拘束されたケースもあった。2日に拘束されたドイツメディアの中国人スタッフが14日になっても、釈放されていない。

 また、中国の出版関係者によると、中国当局は14日までに、米国在住の歴史学者の余英時氏、中国の経済学者の茅于軾氏、香港の評論家の梁文道氏ら約10人について、全著書を出版・販売しないよう各地の出版社や書店に通達した。

 いずれも香港のデモに理解を示す言論を発表したとされる。余氏らの著書はこれまでも当局の検閲対象だったが、学術書など内容によっては中国国内で出版・発売できるものもあった。

 共産党関係者によると、一連の締め付け強化は、香港のデモの影響拡大を抑える狙いがある。また4中総会を前に共産党指導部は「雑音を一掃し、思想統一を図りたいと考えている」ともいう。

 4中総会は「法による統治」が主要議題だが、改革派知識人の間には「(習近平政権は)人治を強めている」との批判がある。

最終更新:10月15日(水)9時57分

産経新聞

 

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