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 西日本を中心に生息が報告されていた「セアカゴケグモ」が、東日本でも勢力を拡大し、ついに首都・東京に侵入した。オーストラリアが原産とされ、人体に有害な毒を持つ。三鷹市と江東区で相次いで見つかり、専門家は「都内に侵入した個体は、すでに繁殖を始めている可能性が高い」と注意を呼びかける。

 東京都内で初めて確認された三鷹市。市役所の職員らによる7日朝の調査では、公園や道路沿いの側溝のふたを職員が一枚ずつ外し、側溝内に隠れているクモがいないか調べた。

 「市内をくまなく調べ尽くすのは難しい。これで収束してくれればいいのですが」。緑と公園課の田中元次課長はそう語り、表情を曇らせた。

 この日は新たな個体の発見はなかったが、今後も週1回のペースで調査を続ける方針だ。

 三鷹市内のマンションの住民から「セアカゴケグモのようなクモを見つけた」と都に通報があったのは9月24日。マンションに隣接する公園などで次々と見つかった。同26日の調査では、公園内でセアカゴケグモのものとみられる卵も採取された。

 東京都環境保健衛生課によると、三鷹市内でこれまでに見つかったクモのうち、少なくとも10匹がセアカゴケグモと確認されている。江東区も同30日、資材置き場で1匹が見つかったと発表した。

 同じ場所で複数の個体が捕獲されていることなどから、岸本年郎・元自然環境研究センター上席研究員は「東京に入り込んだセアカゴケグモは、繁殖を始めている可能性が高い」と分析する。