市販フルコンによるインジェクション化の概略
もう更新しません。
from Feb. 18, 2001
インジェクタ必要容量は6発の場合以下のように推定します。ちょーかんたん。
容量(cc/min)=馬力
300馬のエンジンなら300cc/minのインジェクタが必要です。ただ、インジェクタ100%開弁率を最大噴射量として表示してる場合もあるので注意が必要です。100%噴射をつづけるとインジェクタは破損しますから、まともなメーカーは80%程度で容量を計算してます。
流用インジェクタ調達に困ったとき燃圧を上げて噴射量を増やすこともできますが、パスカルの原理によると、圧をもし2倍にできても噴射量が2倍になることはありません。つまり期待するほど増えません。小学生のとき、固まりかけた絵の具あるいはプラモデルの接着剤のチューブ絞り出そうと、ぐいぐい握りしめても出てくる量は殆ど変わらず、後ろからむにゅ〜、という経験したことあるでしょう、あれです。また、圧が高すぎると今度は閉じてるインジェクタのニードルがシート面に押し付けられている力も増加するので、開き切れない、開くのが遅れる、噴射パターン(後述)が変化してしまう、インジェクタが破損するなどの弊害があります。
点火時期の適合はフルコンの勝ちですが、キャブでも、フルコンで点火だけ制御するという手もあります。ピークパワーだけなら固定進角とくらべて差は出ませんから、可変点火時期なんかあんまり関係ないといわれればその通りです。
−空気量を測定(推定)するセンサ:MAF(マスエアフロ)とかMAP(マニホールド吸気圧)とか。MAFはほんとの吸気量を計算してるのでえらいのですけど、レースでは嫌われるようです。だいたいどのレースもリストリクターがついてるのでそのあたりに装着すれば吸気の邪魔にはなりにくいような気がしますが、それでもMAF方式がつかわれない理由はまだわかりません。コレクタータンクを大きくしてしまうと制御のラグがでてくる?レース用エンジンだと吹き返しでエアフロ値がおかしくなりストールとかがあるのだと思います。
−水温、吸気温度センサ: 暖機のチョーク代わりみたいなものです。
−スロットルポジションセンサ: キャブでいうとこの加速ポンプの代わりをするため、このセンサでバタフライの動きを感知して燃料を増量させます。ついてなくても平気ですが、アクセルのつきがわるくてすかすかします。また、アクセル開度から吸入空気量を推定することができるので、それ用にも使われることがレースエンジンでは多いです。センサといっても全開/全閉スイッチのものが10年以上前は主流でしたので、流用するときには注意です。
−パソコン入力: センサではありませんが、数値入力は普通パソコンを使います。要らないものもありますが、ちとつらいです。シリアルポートが要りますので一部のサブノートはダメ?Macもダメ?パソコンは常時接続するのでなく、セッティングのときだけ使用します。
以下はオプションで、かならずしも必要なセンサではありません。
−アイドルコントロールバルブ: アイドリングを安定させるためにスロットルをバイパスさせるバルブですが、なくても暖気終了までアクセル少し踏んでいれば平気です。もしエアコンつきだったら必要です。6連スロットルだと配管がうっとうしいんです。
−点火: コイルドライバが1つでデスビに出力するものと複数もつタイプとがあります。ドライバ複数つきでは6発ならコイル3つ使って同時点火とするか6個のコイルを駆動できます。この場合は各気筒ごとに点火時期を微調整でき、冷えにくい奥とかだけ遅らせるなんて技を使えます。デスビはキャブ用を使うなら、ポイントや進角機構をとりはらって純粋にデストリビュータとしてのみ使います。どっちにするか悩んでいたのですが、Electoromotive社の歴史のページでこれ関係のネタを拾いました。彼等は最初V8エンジンの点火のみを電子制御したかったそうです。V8はエンジン1回転につき4回点火するので7000回転のときは点火間隔が1.5msになり、コイルに充電する時間が足りなくなるのだと。CDI化は常套手段だけど、これだと充電時間が短くても強いスパークが得られる代わりに一瞬のスパークなのです。それで同時点火のシステムを開発し2msの間スパークすることができるようになったと。これを読んで、自分はコイルドライバが複数あるものを選択することにしました。ただし、点火時期の適合はでもシャシダイで理論的にデータとらないときちんとできないそうです。前のBMWのときもノッキングの出ない程度といううやむやなセッティングでした。しょうがないのでzノーマルのデスビと違い高回転で点火時期がぶれずに安定してる、始動時にタイミングを素晴らしく遅れてくれ、エンジン掛かりやすいから楽、ということで満足することにします。
あまり一般的でありませんが、ツインのモーターサイクルなど不等間隔爆発のエンジンに対応できるフルコンはあまり多くありません。実際バイクにこそフルコンいれたら凄いんですけど、FCRもありますね。自分がもしいまどきのリッターバイク持っていたらどっちにするか?フルコンです。FCRはキャブを外さないとセッティングの変更ができませんが、いまどきのバイクはキャブに到達するまでに地獄をみますし、セッティングパーツはウェーバーの数倍のバリエーションがあり大変なんです。これがもしフルコンだとセッティングは天国でしょう。キャブ(スロットルボディー)が盗むの簡単な位置に露出してるHDやBMWならFCRもいいかも。
−フュエルポンプ出力: ポンプのスイッチが別にあるのもクラシカルなレーサー風で素敵ですね。でもインジェクションの場合燃圧が高いので、エンジン停止したらポンプ止まるようにしとかないと事故のとき非常に危険です。市販車ではトランク部に衝撃スイッチがあってぶつかるとポンプ停止するようになっているものもあります。
−各種スイッチ出力: エンジン回転数や負荷、水温などでスイッチオンしていろんなものを制御できます。代表的なのはレブワーニングや水温警告灯、VTECコントロールなどがあります。単なるスイッチでなくVTECより高度なローバー、BMWなどの連続可変カムタイミングを3次元マップ制御できるのも。
−パソコン出力: 走行中の各センサからの情報をリアルタイム表示させたり、記録したロギングデータを転送してグラフ化したりできます。
オーストラリア(なぜにこの地でフルコン文化が花開いたのでしょう?)
−MOTEC: ◎ダッジバイパーさんチームとリスタージャガーさんチームなどV10よりピストン数が多いハコ系では独壇場。ん?V10だと2気筒同時点火ってできるのかな?いや、もとはトラックエンジン、安い方法で制御できるV角度設定してあるはずです。とにかくバイパーがレースフィールドに登場した時点で点火コイルドライバが5つ以上ある市販フルコンはMOTECのM8だった、というのが選択された理由だと推察します。最近これらお得意先のためさらにコイルドライバが10個以上ある専用品を市販するとか。んでAVOが豪語するほどレース界ではエラくありません。ダッシュロガーのほうはエラい。
−HALTECH◎
−WOLF
−FUELTRONIC: 純正置き換えタイプ
−INJEC??
米国(本職はHolley4バレルキャブ。かと思えば・・)
−EFI Technology: 世界最高峰の市販フルコンと断言しよう!BMWM3のややこしいバルタイ可変機構(ダブルVANOS)も制御してます。無限では自社製コンピュータと言っている(という噂を聞いた)が??現在4000ドルと6000ドルの基本システムがありますが、4発用ローエンドシステムを6月に1500ドル程度で出荷予定(もうあるはず)です。実のところはイタリアに本家ありリンク忘れました。
−TEC-II (ELECTROMOTIVE):
老舗。米国の草レースではそこそこの普及度。制御ロジックがマップでないので一般人(自分)には理解できないらしい。
−Motorola:いわずとしれたモトローラ、北米ホンダのECUはここんち製ですが、市販フルコンもあるとか?オーダーメイドのハイエンドシステムはホンダCARTエンジンに供給。
英国(モータースポーツの本場だけに)
−PECTEL: フォーミュラの他、英国フォード、ヒョンデのWRカーが採用。4発用ローエンドシステムが850UKポンド、ミッドエンドシステムの素のやつ(ロギングメモリーが512k)が1950UKポンドです。ハイエンドのコイルドライバー8つのやつ、そろそろ出荷らしい(もうあるはず)。
−GEMS: グループNのランエボなどラリーカーが多用、つまり純正置き換えタイプ。パイクスのサーブターボ4駆はここんちので純正置き換えタイプだけではなかった。
−DTA: ◎草レース/ジェットスキーなど。ここんちも可変バルタイ制御に取り組んでます。素のやつはグループ噴射で、500UKポンドくらいから。シーケンシャルの新製品できました(3月末)。ということで注文しました。スロットルボディーやファンネルなども用意されてるし、かなりレースに振った解説があったりして、ここのHPは必見です。
−ルーメニション: 光学ポイントレスで有名でしたが、コンピュータもだしてます(けど、アメリカ製のどれかのOEMのような気がします。ここんちはOEMラベルだけ貼リ替えって製品が多いです)
−α (alpha): コントロールソフトをユーザーに開放しないのが日本的。名前の通り、基本はスロポジ制御です。
−OMEX: デーモンツイークスのカタログにありますが、安い。使えるのか?
−ZYTEK:10年前のF3では独壇場だったらしいが、現在はEFI Technology社とPECTEL社に押されて細々気味というより、ハイブリッドに興味まんまんみたいです。ルマンを走ったハイブリッドはここんち製。ジャガーの高いのやロールスベントレィのECUはZytek-
OKI(沖電気)です。
イタリア
−マニエッティ・マレリ: ラテン系ハイエンドシステム。フェラーリ系/プジョーWRカーが採用。
−EFi Technology,なんたら:マニエのは実はココ製。BTCC指定フルコン。
ドイツ(車先進国のはずがTUVのからみかフルコンメーカー無し)
−BOSCH: 現在のエンジンマネージメントシステムの祖。もちろんハイエンドシステムをいろんなジャンルに供給(しとらんかも)。しかしMAFのないボッシュは想像できません。
ECUとデータ収集(ロギング)のデバイスは、R&Dをサボるとすぐに落ちぶれてしまいます。レースカーの作り方本(プロ向け)の著者、8年前の自分の本をみてがく然として改訂版だしたけど、またいちいち改訂してるわけにいかないということで、HPにて改訂することにしたそうな。ちなみにデータロギングはBMWが始めたそうです。すぐホンダが追随。BMWのは256K、ホンダのはカセットテープだったとか。ちょうどそのころ、学生で自動車部(なのに文科系サークル!)員だったぼくたちはなんか活動してるという証をつくるため、車運転時のストレスを記録すべく、人間のほうにセンサーつけて、数百万円の16チャンネルアナログデーターレコーダー(オープンリール磁気テープだった)を大学の講座から借りて実験をしたことがありました。なんせあのころのデータ保存デバイスはキチンとしてるのはでかかったのでレースカーにはのせられなかったでしょう。。