ネイマール、ネイマール、ネイマール、ネイマール。
真新しいシンガポールのナショナルスタジアムは揺れに揺れた。カナリアのエースがゴールを重ねるたびに、スタンドのボルテージは上がっていった。
取りも取ったり4ゴール。流動的なポジショニングから、アギーレジャパンの守備網をあざ笑うかのようにかいくぐっていく。指揮官のドゥンガは「友達とサッカーを楽しむようにプレーしていた」とそのパフォーマンスを手放しで称えた。
完全にネイマールの引き立て役となってしまった日本は、負の連鎖を食い止めることができなかった。90分間という経過のなかで、ゆるやかに、そして確実に切り崩された。
0-4という現実。
3年連続の対戦をスコアで振り返るなら'12年10月が0-4、昨年6月のコンフェデが0-3、そして10月14日の対戦は0-4。結果だけで言えば、何の上積みもなかった。力の差は、歴然としていた。
しかしアギーレジャパンが無策、無抵抗だったわけではなく、あくまで新チームの「色」を模索したなかでの大敗劇であったことを見ていく必要がある。
代表キャップ1以下の選手が5人並んだスタメン。
試合後、ハビエル・アギーレは会見でこう語っている。
「どの試合でも教訓を得ることができる。きょうの試合で言えば、ビッグチームと対戦するときはミスを犯してはならないということだ。そしてもうひとつ、きょうは非常に重要なゲームだった。こうした逆境のなかで、選手を見ることができるからだ。敗戦で喜ぶことはないが、試合後のロッカールームで選手たちが力を出し尽くした姿が見えたのは良かった」
スターティングリストには、指揮官がここ3試合いずれも先発で使ってきた本田圭佑、長友佑都、細貝萌の名がなかった。逆に、代表キャップ「1」以下が5人も並んだ。「勝利にこだわる」というアギーレの哲学を考えれば、テストのニュアンスが強くなってしまうことには正直、違和感を覚えた。ブラジルがメンバーを落とすなら分かるが、格下の日本が落とすというのだから勝負に徹するスタンスには反する。
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