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社説

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新聞週間 真実と真摯に向き合う

(10/15)

 新聞週間が始まりました。

 今年の代表標語は「ふるさとが 元気と知った 今日の記事」。新聞に載った故郷の様子に励まされる心情が伝わってきます。そんな記事を1本でも多く提供したい―。地方紙として強く思います。

 今更ですが、新聞の使命は真実に迫り紙面を通して国民の「知る権利」に応えていくことです。

 その役割を脅かす障害が特定秘密保護法です。国民の不安や反発が根強いからでしょう。今年12月の施行に向けた運用基準には、国民の知る権利について「十分尊重されるべきだ」との留意事項が盛り込まれました。

 しかし権力には「不都合な真実」を隠そうとする悪弊があります。秘密法は廃止するのが筋です。

 政府が持つ情報は国民共有の財産です。たとえ秘密法があっても、私たちの真実を追求する姿勢に変わりはありません。

 ただ、それは新聞への読者の信頼が前提です。その信頼が揺らぎかねない状況が起きています。

 朝日新聞が過去の従軍慰安婦報道の一部と、福島第1原発事故をめぐる「吉田調書」についての記事に誤りがあったとして取り消しました。

 偏った見立てで誤った報道をすることは決して許されることではありません。検証するのは当然です。

 憂慮するのは、その後の一部メディアによる朝日新聞へのバッシングです。批判は切磋琢磨(せっさたくま)のため大事ですが、度がすぎると報道機関全体の信頼を掘り崩すと同時に公権力の介入を招きかねません。

 まして慰安婦報道に携わった元記者が在籍しているとの理由で北星学園大などに向けられた脅迫は犯罪であり、言語道断です。

 ここに一冊の本があります。「深川西高校 あゆみ会事件」。同校元教師らが先月出版しました。

 事件は60年前に起きました。同校サークル「あゆみ会」が政治活動に関係しているかのように、当時あった地域紙と北海道新聞が相次いで報じたのです。

 その後、生徒や教師らからの抗議を受けて調べ直すと、誤報と分かり、北海道新聞は1カ月後、社説で報道を改めました。

 今、関係者に与えた心の傷の深さを考えるとき、報道する責任の重さを痛感します。

 ページをめくるたびに苦い思いにかられますが、真実と真摯(しんし)に向き合っていかねばなりません。誤りを繰り返さず、読者の信頼を得るために。

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