東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

秘密法、運用基準閣議決定 監視機関も身内組織

写真

 政府は十四日、国民の「知る権利」を侵害する恐れのある特定秘密保護法の運用基準と、施行期日を十二月十日とする施行令を閣議決定した。政府が「秘密」を拡大解釈して恣意(しい)的に運用することに歯止めもないまま、施行手続きが終えられた。世論の反対を押し切って同法を成立させて十カ月。この間、主要な三つの懸念は何も変わっていない。 (金杉貴雄)

 最も懸念されるのは拡大解釈だ。法律では特定秘密の対象を「防衛」「外交」「特定有害活動(スパイ防止)」「テロの防止」の四分野とした。運用基準でこれを五十五の細目に分けたが、「領域の保全のために政府が講ずる措置またはその方針」など、政府が幅広く解釈できる項目が並ぶ。運用基準で「必要最小限の情報に限る」と留意事項も加えたが、指定判断は政府に委ねられたままだ。

 拡大解釈の歯止めになるべき監視機関も、身内の組織にすぎない。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十四日の記者会見で「厳格にチェックできる二重、三重の仕組みを設けた」と強調したが、内閣府の「独立公文書管理監」は審議官級で、秘密指定する閣僚より立場が弱い。内閣官房に各府省庁の次官級による「内閣保全監視委員会」がつくられるが、官僚機構に変わりない。

 秘密指定の期間は原則三十年だが、一度指定されれば、政府の判断で永久に指定され続ける懸念もそのまま残った。

 秘密を漏らした側には罰則があるのに、不当な秘密指定への罰則がない問題も改善されていない。運用基準を了承した自民党総務会では「米国の秘密制度では『非効率性の助長』などに当たる秘密指定をした場合、行政側に罰則規定があるが、秘密保護法にないのはおかしい」との疑問が出たが反映されなかった。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo