東急多摩川線:遮断機下りず、列車通過 台風の影響か
毎日新聞 2014年10月14日 19時55分(最終更新 10月15日 01時54分)
14日午前5時15分ごろ、東京都大田区西蒲田7の東急多摩川線矢口渡(やぐちのわたし)6号踏切(幅12.1メートル)で、遮断機が上がった状態で多摩川発蒲田行き下り普通列車(3両編成)が通過するトラブルがあった。14日未明に都内を通過した台風19号による雨の影響で線路が急速にさびたことが原因とみられる。けが人はなかった。
東急電鉄によると、矢口渡駅を出た列車の運転士が同踏切の約50メートル手前で、遮断機が下りていれば点灯する「踏切動作反応灯」が消えているのを確認。非常ブレーキをかけたが間に合わず時速53キロで通過し、踏切から約80メートル過ぎたところで停車した。踏切を横断する車両や歩行者はいなかった。
車両と線路に流れる微弱な電流をショートさせて遮断機を下ろす仕組みだが、線路がさび、正常に作動しなかったとみられる。踏切の警報機は正常に点滅し、警報音も問題がなかった。この影響で約20本に10〜15分の遅れが出た。東急では2007、08年にも同様のトラブルがあったという。
現場は商店街と住宅地の間で、近くの主婦(27)は「遮断機が下りなければ、間違って踏切内に入ってしまいかねない」と不安げに話した。
国土交通省や気象庁などによると、今回のトラブルは台風で強い南風が吹き、現場などの東京湾沿岸部近くでは強風で海水が雨に混じっていた可能性もあるとされる。その海水混じりの雨がレールに付着し、天候の回復による気温上昇と強風で急激に乾いたことでさびが発生しやすい状況が生まれていたとみられる。
また、日中であれば頻繁に列車が通過することでさびがつきにくいが、今回の列車が始発だったため、さびがついたままになったとみられるという。【深津誠、桐野耕一】