秘密保護法:130議会が撤廃意見書 根強い不信感反映
毎日新聞 2014年10月15日 07時00分(最終更新 10月15日 09時34分)
国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法の昨年12月の成立の後、同法に対し少なくとも計195の県議会、市町村議会が廃止や慎重な運用を求める意見書を可決したことが分かった。衆参両院が受理した意見書をもとに毎日新聞が集計した。特定の法律に対し、これだけの意見書が可決されるのは極めて異例。成立後、約10カ月が経過した今月に入ってからも5議会が意見書を国会に提出しており、同法への根強い不信感は消えていない。
可決された意見書のうち少なくとも130市町村議会が、同法の廃止や撤廃を明確に求めた。今月に入ってからは北海道洞爺湖町、岡山県吉備中央町、徳島県佐那河内村の3議会が廃止を求める意見書を国会に提出した。
茨城県取手市議会の意見書は「国民主権・基本的人権・平和主義という日本国憲法の基本原則をことごとく蹂躙(じゅうりん)する」との表現で強い懸念を表明。三重県亀山市議会の意見書は「まさに国民の目と耳をふさぐものだ」と訴え、撤廃を求めた。また、甲府市議会は「指定される秘密が恣意(しい)的に拡大する恐れがある」と運用に関する懸念を表明した。
極東最大の空軍基地である米軍嘉手納飛行場を抱える沖縄県嘉手納町議会では「影響を最も受けやすい地域として危惧している。住民が自らの生命財産を守るための実態把握さえもできなくなる」として、米軍の運用や基地政策に関する情報が得られなくなる懸念から、廃止を求めた。
県議会では同法撤廃を明示的に求める意見書は可決されていないが、慎重な運用を求める意見書が、岩手、新潟、鳥取の各県議会で可決された。
新潟県議会は「撤廃を求める意見書」や「修正を強く求める意見書」を否決した上で「国民に明確な説明を行い、十分な理解を得るよう強く求める」との意見書を可決した。ある自民党県議は「撤廃や修正までは必要ない」と前置きした上で「支持者の間に反対意見があり、否決して終わりというわけにはいかなかった。何かしらの意思表示は必要だと考えた」と語った。
意見書は政府や国会への強制力はないが、地方議会の意見を国政に反映させるために地方自治法99条に定められており、一定の影響力を持つとされている。