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【主張】
新聞週間 信頼向上と報道の自由を
15日から新聞週間が始まった。新聞の重い責務を自覚し、読者の信頼を高める契機としたい。
インターネットなど情報伝達手段が多様化するなかで、歴史の長い責任あるメディアとして、新聞の役割と報じる内容が問われている。今年は、その信頼にかかわる問題が起きた。朝日新聞が、慰安婦報道や原発報道をめぐり誤報記事を撤回した。
朝日は8月に自身の慰安婦報道について検証し一部誤報記事を取り消した。東京電力福島第1原発事故の「吉田調書」をめぐる誤報も木村伊量(ただかず)社長が9月に会見して認め、慰安婦報道の誤報記事撤回の遅れを含め謝罪をした。
誤った記事について検証し、撤回するのは当然であり評価できることだが、世界に誤解が広がり厳しい批判を招いた責任は重い。
新聞は情報をいち早く伝えるだけでなく、解説記事や調査報道を通し、分かりやすく深く伝える工夫をしている。情報が多い時代に多様な意見をふまえ、読者に考える指針を示す役割が増している。それだけに事実をゆがめて伝えることがあってはならない。
予断をもって都合のいい情報をつなぎ合わせ報じることがないか。メディア全体、とりわけ新聞界は襟を正したい。