金正恩氏、転ばぬ先の杖!重病説広がる前に健在ぶりアピール
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は14日、健康悪化説が流れていた金正恩第1書記が、完工したばかりの「衛星科学者住宅地区」などを視察した様子を報じた。つえをついて歩く写真が掲載され、足がまだ完治していないことが判明。韓国政府当局者は、北朝鮮当局が完治に時間がかかると判断し、重病説の拡散を防ぐ狙いではないかと指摘した。北朝鮮メディアが正恩氏の動向を伝えたのは9月4日以来40日ぶり。
労働新聞は、正恩氏が視察したとみられる建物の前で満足そうな笑みを浮かべている写真を大きく掲載。左手で短いつえをつきながら建物を見て回っている写真も掲載されている。
同紙は正恩氏が「地区の各所を回り建設の状況を具体的に確認した」と伝え、本人は「本当に素晴らしい、珍しい風景だ」と大満足だったという。移動に大きな支障がないことを示唆しているが、足の状態には触れていない。住宅に入居する科学者らと記念写真も一緒に撮ったという。朝鮮人民軍の黄炳瑞(ファン・ビョンソ)総政治局長ら側近要人が同行した。
衛星科学者住宅地区は首都、平壌郊外の科学者向けの住宅区域とされる。24棟からなり、多層住宅と学校、病院、託児所、幼稚園などの公共施設からなるという。正恩氏は党創建記念日(10日)までの完工を指示してきたとされ、視察日はごく最近とみられる。
韓国政府当局者によると、指導者の健康上の問題を見せることを徹底して避けてきた北朝鮮が、指導者がつえなどをついて動く姿を伝えたのは初めてとみられる。完治に時間がかかると判断し、健在ぶりを示した方が、社会の動揺を最小化できると考えた可能性がある。
北朝鮮のテレビは7月以降、正恩氏が足を引きずって歩く映像を流し、9月には体が「不自由」だと伝えていた。
14日付の韓国紙・中央日報は北朝鮮情報に詳しい関係者の話として「先月中旬、フランスの医師から両足首の関節の手術とともに足の裏のむくみと水ぶくれに対する外科的治療を受けた」と報道。手術後は専用別荘に滞在しながらリハビリ治療を受けていたという。消息筋によると、韓国政府は正恩氏の症状を〈1〉足首の負傷〈2〉痛風〈3〉足底筋膜炎のいずれかとみている。