【フィギュア】大輔、現役引退 28歳晴れやか「次の目標に進みたい」
フィギュアスケート男子で2010年にバンクーバー五輪で銅メダル、世界選手権王者に輝いた高橋大輔(28)=関大大学院=が14日、岡山市内で現役引退を発表した。スポーツ振興奨励大賞を受賞した席で「引退することを決断しました。次の目標に向かって進みたい」と明かした。今後は未定だが、アイスショーなどには出演する予定。ソチ五輪金メダルの羽生結弦(19)=ANA=、12年世界選手権3位で3月に引退した鈴木明子さん(29)らがねぎらいのコメントを出した。
晴れ晴れとした表情だった。グレーのスーツに身を包み、ひげを蓄えた高橋は「現役を引退して次に進んでいきたい」と落ち着いた口調で語った。「ここで生まれなければ今の自分はいなかった」と感謝を込めた故郷・岡山での表明。会場にはテレビカメラ約30台、報道陣も約200人が集結し「大々的にするつもりはなかった」と苦笑した。20年に及ぶ競技人生に「漠然と夢見ていた五輪に3度も出られた。(韓国・平昌五輪が行われる)4年後を考えると、今の僕では不可能だと思った。フィギュアスケートに出会えて本当に良かった」と笑顔を見せた。
数々の偉業を成し遂げてきた。02年の世界ジュニアで日本男子初優勝を果たすと、10年バンクーバー五輪でも初の銅メダル獲得、続く世界選手権(トリノ)では初の優勝を達成した。165センチ59キロの恵まれない体で右膝などの度重なる故障にも苦しんだ。それでも「けががあったから、今の自分がいると思っている。すぐに忘れるタイプですが、バンクーバーの表彰台で日の丸が揚がっていく光景は今でも鮮明に覚えている」と振り返った。
ソチ五輪は6位で、直後の世界選手権(さいたま)は欠場。1年間の休養を宣言しながらも引退を決断したのは9月の半ば。ファンの前で表明できなかったことが心残りと言うが「一連のアイスショーが終わったら、モヤモヤした自分がいた。このままだと次に進めないと思った」と明かした。
12月にはアイスショー(新横浜)に出演するなど、今後もスケートには接していく。「ダンスや語学の勉強(留学)はしてみたい。今まで流れに任せてきたので、競技から2、3歩離れて何ができるか考えたい」。努力で頂点に立ったフィギュア界の貴公子は、第2の人生を“自分探し”から始める。(遠藤 洋之)