インタビュー
» 2014年10月15日 06時00分 UPDATE

「小さい東京」にならないために必要なこと:地方都市で新しい企業が生まれるにはどうしたら?――福岡市の試み (1/6)

9月の内閣改造で地方創生担当大臣が新設され、いま再び「地方」が注目されている。地方行政がさまざまな形で地域経済の活性化に取り組んでいる中で、福岡市がユニークな試みを始めている。それは……。

[土肥義則,Business Media 誠]

 地方経済をなんとかしなければいけない――。日本全体で、これは喫緊のテーマだ。6月の成長戦略では「ローカル・アベノミクス」が注目を浴び、9月の内閣改造では、地方創世担当大臣が新設された。官庁や政治家だけでなく、地方の側もあの手この手で地方経済の活性化に努めている。多くの地方自治体では熱心に企業誘致を図っているが、残念ながら成功事例は少ない。

 地方で起業することは、なぜ難しいのか。多くの企業が存在しないからうまくいかないのか、それとも人材が不足しているからうまくいかないのか? さまざまな課題がまだ解決されていない中、福岡市があるユニークな試みを始めている。

 海外展開を目指す国内ベンチャー企業だけでなく、日本への進出を視野に入れている海外ベンチャー企業にプレゼンテーションをしてもらい、審査の結果、優秀な企業にはさまざまな支援をしていくという。このほかにも、いろいろな業界で働いている人が出会える“交流の場”を提供し始めた。

 もちろん、こうした試みが成功する保証はないが、地元からベンチャー企業が生まれやすい環境をつくろうという意気込みがうかがえる。日本の諸都市の中でもアジアに近い福岡市は、どんな街に変わろうとしているのか。福岡市経済観光文化局の合野弘一理事と、愛媛県松山市で起業して、現在は東京に拠点を置くサイボウズの青野慶久社長が語り合った。

yd_fukuoka3.jpg 福岡市は何を企画しているのか(出典:Asia-biz Fukuoka)

合野弘一氏(ごうの・こういち)のプロフィール:

福岡市経済観光文化局 理事

 福岡市出身。九州大学法学部卒業。1981年、福岡県庁入庁。国際交流課、財団法人自治体国際化協会ロンドン事務所、企業立地課、国際経済観光課勤務。福岡県アジアビジネスセンターや福岡県海外事務所の立ち上げを主導。2012年4月から福岡市経済観光文化局理事に就任。海外訪問国は約50カ国に及ぶ。


青野慶久氏(あおの・よしひさ)のプロフィール:

サイボウズ株式会社 代表取締役社長

 1971年、愛媛県今治市生まれ。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、 松下電工入社。1997年、サイボウズを愛媛県松山市に設立、取締役副社長 に就任。マーケティング担当としてWebグループウェア市場を切り開く。 その後、「サイボウズ デヂエ」「サイボウズ ガルーン」など、新商品の プロダクトマネージャーとしてビジネスを立ち上げ、事業企画室担当、 海外事業担当を務める。2005年4月に代表取締役社長に就任。 息子2人、二度の育児休暇を取得。


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