地方経済をなんとかしなければいけない――。日本全体で、これは喫緊のテーマだ。6月の成長戦略では「ローカル・アベノミクス」が注目を浴び、9月の内閣改造では、地方創世担当大臣が新設された。官庁や政治家だけでなく、地方の側もあの手この手で地方経済の活性化に努めている。多くの地方自治体では熱心に企業誘致を図っているが、残念ながら成功事例は少ない。
地方で起業することは、なぜ難しいのか。多くの企業が存在しないからうまくいかないのか、それとも人材が不足しているからうまくいかないのか? さまざまな課題がまだ解決されていない中、福岡市があるユニークな試みを始めている。
海外展開を目指す国内ベンチャー企業だけでなく、日本への進出を視野に入れている海外ベンチャー企業にプレゼンテーションをしてもらい、審査の結果、優秀な企業にはさまざまな支援をしていくという。このほかにも、いろいろな業界で働いている人が出会える“交流の場”を提供し始めた。
もちろん、こうした試みが成功する保証はないが、地元からベンチャー企業が生まれやすい環境をつくろうという意気込みがうかがえる。日本の諸都市の中でもアジアに近い福岡市は、どんな街に変わろうとしているのか。福岡市経済観光文化局の合野弘一理事と、愛媛県松山市で起業して、現在は東京に拠点を置くサイボウズの青野慶久社長が語り合った。
福岡市経済観光文化局 理事
福岡市出身。九州大学法学部卒業。1981年、福岡県庁入庁。国際交流課、財団法人自治体国際化協会ロンドン事務所、企業立地課、国際経済観光課勤務。福岡県アジアビジネスセンターや福岡県海外事務所の立ち上げを主導。2012年4月から福岡市経済観光文化局理事に就任。海外訪問国は約50カ国に及ぶ。
サイボウズ株式会社 代表取締役社長
1971年、愛媛県今治市生まれ。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、 松下電工入社。1997年、サイボウズを愛媛県松山市に設立、取締役副社長 に就任。マーケティング担当としてWebグループウェア市場を切り開く。 その後、「サイボウズ デヂエ」「サイボウズ ガルーン」など、新商品の プロダクトマネージャーとしてビジネスを立ち上げ、事業企画室担当、 海外事業担当を務める。2005年4月に代表取締役社長に就任。 息子2人、二度の育児休暇を取得。
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