総合格闘技のUFC日本大会が先月20日、さいたまスーパーアリーナであった。総合格闘技はこのところ人気が冷え込んでいるが、この日ばかりはファンの熱い声援に包まれた。今年で3年連続の日本開催。ヘビー級のマーク・ハント対ロイ・ネルソンをメーンに、五味隆典(ライト級)や秋山成勳(ウエルター級)、女子の中井りん(バンタム級)ら日本選手10人が会場を盛り上げた。
ハントはK−1で活躍し、PRIDEでも人気を博した40歳。往年のキックやパンチを知るファンが多かったが、かつての打撃の鋭さは見られなかった。それは日本選手にも言えた。地上波テレビ中継が消え、格闘家を育てる環境が変わったのも大きい。今は階級も増えて男女9階級。安全性を考慮したルールも現役寿命をのばしている。
そんな中、私はフライ級の堀口恭司(23)とフェザー級の菊野克紀(32)に注目した。堀口はジョン・レイエスを右ストレートで倒し、速攻のKO。若さの勢いがあった。菊野は足技に物足りなさを感じたものの、サム・シシリアンを2回に背後から裸絞めで鮮やかにKO。どこまでのし上がるか楽しみだ。 (格闘技評論家)
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