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印南敦史印南敦史  - ,,  07:30 AM

からだにいい食事の究極は「玄米ご飯」と「からいみそ汁」である?

からだにいい食事の究極は「玄米ご飯」と「からいみそ汁」である?

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1日3食をやめなさい!』(内海聡著、あさ出版)は、断食を主軸としたTokyo DD Clinic院長であり、これまでにも『医学不要論』『医者とおかんの「社会毒」研究』(ともに三五館)、『医者いらずの食』(キラジェンヌ)などの食に関する本を執筆してきた著者の新刊です。

まずはchapter 1の、「一日三食が病気のもと」であるという持論からスタート。そののちchapter 2で「食べすぎないと健康で長生きできる」理由を説き、chapter 3で「なにを食べるか」ではなく「なにを食べないか」の重要性を訴え、chapter 4では現代社会における「独抜き」の重要性について説いています。そのアプローチはそれぞれが大胆にも思えますが、それが本書のオリジナリティとなっているのも事実。

きょうは、それらに続いて「なにを、どう食べればいいのか」を提示したchapter 5「『体にいい食事』を考える」から、いくつかを引き出してみることにします。


「玄米ご飯」と「からいみそ汁」


「なにをどう食べればいいのか」と問われた場合、著者は「雑食」と答えるのだそうです。そしてここでは、長崎の原爆で自らも被曝しながら被爆者の治療にあたった医師、秋月辰一郎氏のことばを引用しています。


「塩は造血細胞に賦活(ふかつ)力を与える。砂糖は造血細胞には毒となり、血液を破壊する。だから砂糖は絶対にいかん。玄米に塩をつけて握り、からいみそ汁を飲むんだ」(201ページより)


当然ながらこれは、内部被曝への対処法として示されたもの。しかしここには、あらゆる毒を排し、からだを健康にするヒントが詰まっていると著者はいいます。

最初に心がけるべきは、白米や砂糖など精製された直接糖は避けること。砂糖は血液を破壊するからだそうです。そして、そう考えると行き着くのは、「米は玄米」という結論。玄米は栄養バランスにすぐれ、ビタミン、ミネラル、食物繊維のほか、イノシトール、ガンマオリザノールという栄養素にも富んでいるといいます。

脂肪代謝を促す作用があるため、動脈硬化や肝脂肪や高脂血症を防いだり脳細胞に栄養を補給したりと、重要な働きをするのがイノシトール。そしてガンマオリザノールには、コレステロールの吸収を抑え、血行をよくするなどの作用が。つまり米は米でも、精製されていない玄米にはすぐれた薬効があるということです。

また血液の殺菌能力は塩によるものなので、血液中の塩分が多いほど、殺菌能力は高くなるそうです。ただし海水の養分が残っている塩に限られるため、不自然な精製塩ではない「本物の塩」を使った自然発酵のみそを使用した、からいみそ汁を食べるのがいいという考え方。つまり「玄米ご飯とからいみそ汁」こそ、日本人が健康になるためのいちばんの基本だということです。(200ページより)


おさえておくべき3つのポイント


著者の専門のひとつである東洋医学の思想に基づくと、からだにいい食事の考え方は次の3つにまとめられるといいます。


1.季節に合ったものを食べること
2.日本の風土に合ったものを食べること
3.食べ物をまるごと食べること
(205ページより)


1.には「旬のものはおいしい」という以上の意味がある

旬のものは「滋味がある」といわれますが、これは栄養豊富でおいしいということ。野菜の栄養価は、ふさわしい季節に育ってこそ高まるというわけです。

また、夏の野菜にはからだを冷やす作用、冬の野菜にはからだを温める作用があるというのが東洋医学の考え方。つまり、たとえば真冬にきゅうりやトマトを食べるのは、わざわざからだを冷やして病気を招くようなもの。自然の摂理に従うことが、何にも勝る健康の秘訣だということです。

特に現代においては、季節に合ったものを食べることが毒の摂取量を減らすことにもなるといいます。季節の野菜はその季節に育ちやすいようにできているため、発育がよく、農薬や化学肥料を使うことが少ない。逆に季節はずれの野菜を無理やり育てようとすれば、おのずと農薬や化学肥料の使用量も増える。自然に反するやり方には、自然に反する毒がついてまわるというわけです。


2.は「身土不二」という考え方に基づく

身土不二とは「からだと土は分かちがたいものである」といった意味だそうです。つまり、その土地に生きている自分のからだをつくるためにもっとも適しているのは、その土地で育った作物であるということ。

ただし現代農法が浸透している現在は、なにが「日本の風土に合ったもの」であるのかがわかりにくくなっているのも事実。しかしその一方では、料理界においては和の食材が見なおされているという傾向も。事実、イタリアンやフレンチで、ごぼうやかぶ、大根、しそなど和の野菜を使う店も増えてきているといいます。つまり家庭で料理をする際にも、「和野菜」をキーワードに献立を考えるといいというわけ。「毎日、和食では嫌だ」という人でも、和食材を洋風にアレンジすれば、飽きることなく「日本の風土に合ったもの」を食べ続けられるということです。


3.は、「一物全体」「ホールフード(Whole Food)」とも呼ばれる考え方

たとえば穀類や根菜類は糖質が高いですが、まるごと食べればからだに適した「間接糖」のかたちで取り入れることが可能。からだに必要な糖は、それだけでこと足りるともいえるのだそうです。むしろ、そのようなかたちでとらないと、糖は毒になるだけだとか。

最たるものは、外皮の部分にビタミンやミネラルなどの栄養素がふんだんに含まれた玄米。逆に精製した白米は、米の栄養素をすべて取り去った糖質のかたまりにすぎないといいます。つまり日本人の食事においては、玄米こそがホールフード(食べ物をまるごと食べること)の重要性をいちばん物語る食べ物だといえるわけです。

それは、他の穀類も同様。精製された小麦の粉を使った白いパンやパスタも、栄養素を取り去った糖質のかたまり。全般的に、「白い小麦製品」は避けて間違いはないと著者は記しています。そして代わりに選ぶべきは、ブラウンフラワー(全粒小麦粉)、ブラウンブレッド(黒パン)やブラウンパスタ(全粒粉パスタ)などの「茶色い炭水化物」。しかも原料の小麦は、遺伝子組み換えでないこと、農薬を使っていないことがポイント。ただし小麦にはからだを冷やす作用もあるため、冷え性の人などはブラウンフラワーよりも玄米をとった方がいいそうです。(205ページより)



タイトルだけを見れば、摂取量を減らすことを薦めているようにも思えるかもしれません。が、上記からもわかるとおり、根底にあるのは自然と歩調を合わせた食のあり方。だからこそ、読んでいると強く納得できる箇所を多く見つけることができます。


(印南敦史)

 

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