悪食のゲーマーブログ

つれづれなるゲーマー日記。

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今日レビューするのはこれ。
「FLOWERS」だ。

公式サイトはこちら。
http://www.gungnir.co.jp/lily/index2.html
2つ入り口があるが、本作は右側(1作目)である。
ちなみにVITA版とPSP版もあるので、持っている人はそっちを買うのも良いと思われる。






本作はミッションスクール「聖アングレカム学院」での少女達の禁忌の恋と謎解きをテーマとした
百合系ミステリィアドベンチャーである。




ある事情から家族以外との接触を断っていた白羽蘇芳は、擬似的に友人を作らせ行動を共にする
「アミティエ」と呼ばれる制度がある聖アングレカム学院へ惹かれ、入学を決意する。
その中で二人の少女、「花菱立花」と「匂坂マユリ」に出会い、2人とアミティエとなる。
この3人の中で揺れ動く友情、そして恋・・・さらに学園に蔓延る「ミステリィ」が複雑に絡み合い、
本作のストーリーを形成している。

全体的な雰囲気はお嬢様学校というよりキリストを重んじるミッション・スクールそのもので、
いわゆる「お姉様」が出てくるような内容ではない。
どこか閉鎖的で、女の園といったイメージが強い感じだ。
まさしく「百合」が似合う舞台だと思う。



ゲーム内容としてはオーソドックスな選択肢式AVGで、ストーリーを進めると
仮初の友人である「アミティエ」から、本当の友人・・・そして、恋へと昇華していく少女達を
見ることができる。
蘇芳、立花、マユリの思惑が絡み合い、それぞれの思考がすれ違い、時に明るく、
時に暗く激しい感情が行き来して、3人の関係を劇的に変化させていくストーリーは魅力的だ。
・・・エンディング以外は。



ストーリーの所々では謎解きもあり、今までの(少なすぎる)情報を元に推理し、正しい選択肢を
選ばなければならない。
一つでも失敗すれば即ゲームオーバーという難しさを誇る。
よって、クイックセーブは必須。








正しい選択肢を選び続け、2人の想いが添い遂げられることでようやく見られる「恋人」としての
シーンはその絵柄の綺麗さ、声優さんの上手さを含めて本当に最高だ。

特にこの蘇芳・マユリのやりとりは「テキストの合間に悩ましいボイスが入る」という表現方法で、
禁忌感・背徳感を上手く表していると思った。



まあ、どこまでやっちゃったのかは伏せるが・・・。







もう一人のヒロイン、花菱立花のエンディングもちょっと唐突感はあったけど良い内容で、
彼女の激情とも言える嫉妬、謝罪、そして贖罪が描かれていた。
正史としてのエンディングではないものの、個人的には好きなエンドだったかな。
正史エンドがアレなだけに。

全般としてはキャラクター絵、ボイス、BGMが織り成すゲームの雰囲気がとても魅力的で、
メインキャラクター3人以外のサブキャラクターもしっかりとキャラが立っている。
それだけに残念な部分も多く目立つ。




まず、攻略対象が立花・マユリの二人しかいないこと。
双子や金銀の先輩といった魅力的なサブキャラクターがいるのに、どうやっても全く攻略できない。
その分メインストーリーに力が入っていると言えば、そうなのだが・・・。



特にこの偽悪者、皮肉家、そしてちょっとツンデレの「八重垣えりか」が攻略対象外なのは
あまりにも勿体ない。

彼女が攻略対象にいないのはハッキリと理由があるのだが、それにしたって「IF」は欲しかった。
そのぐらい魅力的なキャラクターなのだ。

その他にも、百合ゲージの存在が無駄に難易度を上げている。
本作の選択肢は謎解きシーン以外は全て2択であり、どちらを選んだかで
百合ゲージ(会話枠右側の百合の絵)が変化する。
上昇し続ければ百合の花が咲き、下降し続ければ萎れてしまう。
本作の難易度が無駄に高い理由は、
全て上昇か全て下降する選択肢を選ばなければ、
中途半端だと強制的にバッドエンドだということ。

選択肢を選んだ時に百合ゲージが緑に光れば上昇、黄色く光れば下降なので、
全選択肢でクイックセーブして挑まなければならない。
基本的には百合っぽい選択肢を選べば上昇するが解りづらいものもあり、
「塩」と「七味」どっちを選ぶかでも上昇・下降する。
こんなもんわかるか!!

加えて酷いのがミステリィ部分。
ほとんどノーヒントに近い状態で選択肢を選ばなければならず、正解を読んでも
「そんなんわかるか!」というものばかり。

例えば小説「嵐が丘」の内容や花言葉を知らなければ解けない内容もあるし、
「塩を炭酸に入れると活性化する」といった豆知識を知らないと全くたどり着けない内容もある。
犯人が犯行を起こす理由がほとんど描写されずに唐突過ぎる理由付けがあったりする。
結局総当たりで挑まざるを得ない状況になるため、謎解きとしては全く生きていない。
これならば選択肢を排除して謎解きシーンは普通に流すか、もっとヒントを散りばめるか、
選択肢をミスした時にヒントを与える機能が必要だと思う。

最大に救えないのがエンディング。
全選択肢で正解を選んでたどり着くトゥルーエンドは、
言ってしまえば「バッドエンド」または「ぶつ切りエンド」であり、まったくスッキリとしない。
本作が4部作である以上、次に繋がる内容にしなければいけないのは理解できる。
しかしそれでも、もうちょっと救いのあるエンディングにはならなかったんだろうか。
あれではどうやってもプレイヤーに消化不良感を与えてしまう。
次に繋がらなくてもいいから、「IF」エンドを用意してほしかった。
実際立花エンドはIFエンド扱い(スタッフロールすら流れない)だし、やりようはあったはずだ。






しかし・・・確かに欠点は目立つしエンディングは微妙だが、
だからといってその道中を否定する理由は無い。
上にも書いたがマユリと相思相愛になって心を通わせるシーンや、
立花の贖罪を受け入れて二人で生きていくIFエンドも良かった。
どちらかと言えば、僕は本作が好きだ。



2015年には八重垣えりかを主人公とした第二部が発売予定なので、
これもまた追いかけたいと思う。

柔らかな絵柄で、禁忌の恋愛を体感したい人にオススメの一本。
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