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 ソウル中央地方検察庁刑事1部は10月8日、産経新聞ソウル支局前支局長を情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律違反(名誉棄損)で在宅起訴した。韓国の保守団体が同前支局長を名誉棄損で刑事告発したのが発端だった。

 その後、産経新聞のコラムを紹介した韓国のインターネット新聞の記者も捜査対象となった。このため、韓国メディアと野党議員らは、インターネット上の表現の自由までも制限されるのではないかと心配している。

政府が持つ盗聴設備が増大

 韓国メディアは10月12日、政府機関や捜査機関が利用する「パケット監聴設備」が2005年には9台だったのが、2014年10月には80台に増えたと報道した。2014年10月時点で国家機関が保有する「監聴設備」は警察や検察、国防部などに394台ある。

 監聴とは、情報の送信者でも受信者でもない第三者が、当事者の同意なく、電子装置を利用して通信内容をリアルタイムで監視することをいう。「パケット監聴設備」は、インターネット上の通信を監視し、ネット上のやりとり――電子メールやメッセンジャーアプリを使ったチャットなど――を当事者の同意なくすべて見られるようにする装置のこと。

 監聴設備のこの台数は、通信政策を担当する未来創造科学部(部は省)が野党議員の要請を受けて公開したもの。野党は「公安組織である国家情報院が保有するパケット監聴設備の台数は不明なので、実際にはもっとあるだろう」「政府機関が国民のインターネット利用を常時監視している。表現の自由と通信の秘密保護のために対策が必要である」と主張している。

KAKAO TALK が政府に情報提供

 メッセンジャーアプリで韓国最大手のKAKAO TALK(会社名はDAUM KAKAO)が10月8日、ユーザーがチャットした内容を捜査機関に提供していたにもかかわらず、これを隠していたとして謝罪した。

 韓国メディアによると、KAKAO TALKは、捜査機関から以下の2つの要請を受け、これらに協力したと明かした。1)特定のユーザーについて、チャット内容をリアルタイムで監視(実際には技術的な問題でリアルタイム監視はできず、5〜7日分のチャット内容をまとめて提出)するよう。2)特定のユーザーが何時何分に誰とチャットをしたのかを確認する通信事実確認資料を提供するよう。前者の監聴令状は2013年1月〜2014年6月の間に147件、後者の確認資料の要求は2467件あった。KAKAO TALKに対して捜査機関が監聴と通信事実確認資料提供を求めた件数は、2013年以降急増しているという。

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