エボラかアリババかFRBか、株式相場下落の犯人捜し始まる
10月14日(ブルームバーグ):9月19日の朝、ニコラス・コーラス氏は市場が開く前のテレビ番組に出演するため待機していた。
コンバージExグループのチーフ市場ストラテジストの同氏はその日が上場初日のアリババ・グループ・ホールディング株について話すことになっていたが、同氏の頭には市場全体のこともあった。2つは必ずしも無関係ではなかった。
S&P500種 株価指数が前日に付けた過去最高値2011.36の数字を眺めながら同氏は「これがピークのような気がする」と口にした。同氏の勘は、少なくとも目先については正しかったようだ。
250億ドル(約2兆6800億円)という史上最大規模のアリババの新規株式公開(IPO)を成功させるのに十分なほどの市場の自信も、コラス氏がその朝、相場が頂点にあるように感じた理由の一つだった。あのピークからS&P500種が5%以上下落した今、何がこの下落をもたらしたのかと人々は喧々諤々(けんけんがくがく)議論している。
BTIGのチーフストラテジスト、ダン・グリーンハウス氏は14日のリポートで、国際通貨基金(IMF)による世界成長率予想の引き下げだけが理由とは考えにくいとして、エボラ出血熱の流行の方が市場にとって大きな問題だとの見方を示した。
エボラは「その影響を数量化することができない。従ってこれが市場に不透明感をもたらしても何の不思議もない。エボラ感染が他の都市でも現れ始めたら、企業決算などは関係なくなるだろう」と同氏は書いている。
S&P500種が1850で年を終えるという予想の現実味が増してきたウェルズ・ファーゴのジーナ・マーティンアダムス氏は「市場の弱気の核心」は依然、連邦公開市場委員会(FOMC)の引き締め転換の遅さだとみる。
同氏は14日のリポートで「当社はこの波乱を一時的なものと考えているが、しばらくは続きそうだ」とし、投資家が新たな金融政策環境に慣れるための時間が伴うと指摘した。
米企業業績、ドイツ経済の弱さ、商品相場下落、債券利回り低下、欧州中央銀行(ECB)が成長をてこ入れできるかどうかの疑問、米金融当局の尚早な引き締めへの懸念などをコーラス氏は挙げ、「どれもこれも、単独であれば対応可能なものだ」が、過去1週間のエボラ関連ニュースへの市場の反応は、「今そこにある幾つかの『小さめの』危機が一つの大きな危機と同じだけのダメージを与え得ることを示唆している」と書いている。
原題:Ebola to Alibaba Trigger Debate Over Cause of Stock MarketSlide(抜粋)
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更新日時: 2014/10/14 16:20 JST