◇IWGPヘビー級選手権
新日本プロレス▽13日▽東京・両国国技館▽観衆9100人(超満員札止め)
日本列島を直撃した台風19号さえも粉砕しそうな威力だった。コーナー最上段に上がった棚橋は、リング中央に倒れているスタイルズを狙いすまして飛んだ。大きな試合で必ずフィニッシュにしているハイフライフローが、両国のリングでも爆発。着地した瞬間、棚橋の体がバウンドするほどの一撃だった。
スタイルズには8月の西武ドーム大会でも勝っていた。だが、実力が拮抗(きっこう)する相手に2度続けて勝つのは極めて難しいとされる。実際、棚橋は動きを研究され、なかなかペースを握れなかった。中盤まで、ハイフライフローは何度も不発に終わった。それでも、最後までハイフライフローにこだわり続けた。
試合後、初防衛戦の相手に決まったオカダがリングに上がり「あなたのような太陽では、新日本は照らせません。くすんだ太陽だ」と挑発した。かつて棚橋はIWGP王座戦線の最先端にいたが、この1年は挑戦権を与えられない不遇をかこった。すべてはオカダの出現が理由だ。「苦しい1年だった。俺はどうなってしまうのか、不安もあった。でも、オカダはくすんだ太陽と言ったが、太陽には黒点があって、時として強い熱を放つ。ドームでは1年分の借りをオカダに返します。まあ、見ていてください」と言い切った。
オカダがスタイルズに負けて流出していたベルトを、そのスタイルズに勝ってリング上で受け取った。大観衆に向かって「ただいま!」と呼び掛けると「お帰り!」と3度コールが返ってきた。東京ドーム大会のメーン出場は5年連続。誰もが待っていた王者が新日本に戻ってきた。 (大西洋和)
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