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一発内定も! 一流ゲーム企業担当者の前で自作ゲームをプレゼンする就活イベント「ゲームクリエイター就職大作戦 東京大決戦」開催
これは,ゲームクリエイターを目指す若手のために企画されたもので,事前に募集されたゲームのなかから予選を通過した13作品/13人が一堂に集まって,ゲームメーカーの前で直接自作のゲームをアピールするプレゼン大会だ。プレゼンを受けるのは,カプコン,ガンホー・オンライン・エンターテイメント,コロプラ,Cygames,スクウェア・エニックス,セガネットワークス,フロム・ソフトウェアといった錚々たるゲーム会社だ。プレゼン結果次第で,各社担当者が札を上げるのだが,その内容は「1次面接」「2次面接」「内定」となっており,就活生にとっては夢のようなイベントかもしれない。その場で一発内定まで出すということで,見る側にも各社部門責任者や取締役クラスの重鎮が並ぶという,なかなかものすごいイベントとなっていた。
集ったのも,エントリー開始から最終審査まで2か月ということで,短期間にちゃんとしたゲームを作る必要があるハードな過程を勝ち抜いた実力者揃いだ。
まずは,エントリーした候補者の作品を順に紹介してみよう。
トップバッターとなった谷口さんの「クインテット・スクープ」は,アイスクリーム屋をテーマとしたパズルゲームだ。客の注文に応じたアイスクリームのトッピングを揃えていく。意識して取り入れたのは麻雀のエッセンスとのことで,突っ張るか降りるか,なにを捨てるかといったリスクとリターンによるゲーム性を盛り込んいるという。
プレゼンではゲームの説明以外に,日常のものごとから面白さを分解して取り入れる手法など,谷口さんのゲームプランナーとしての持論などもアピールしていた。
非常にプレゼン慣れしており,プランナーとしての考え方もしっかりしていることからか,カプコンとガンホーから1次面接権を,セガネットワークスからは2次面接権を勝ち取っていた。
●Book World 作者:薬田使徒
読書を勧めるというゲーミフィケーション要素以外に,新しいデジタル書店の形態を模索するという意欲的な試みも行われており,楽天Booksのランキング情報を取り込んで紹介書籍を選んだり,購入ボタンを付けるなど「歩き回れる本屋」を目指しているという。
また,Unityちゃんは独自の人工無脳によってプレイヤーと会話できるようになっているなど,プログラム内容も高度で盛りだくさんだ。
結果は,ガンホーから1次面接権を勝ち取っていた。
●Lighter 作者:かみやすり
全体に荒削りながらゲームの骨格がきっちりとしており,司会をしていたユニティ・テクノロジーズの染谷氏に「いろいろ改良したくなる」と言わせる内容で,タワーディフェンスの戦略性を生かしつつ,シンプルで爽快感を重視したタイトルとなっていた印象だ。
審査の結果,スクウェア・エニックスから1次面接権を勝ち取った。「ものはしっかりしている」と同社コーポレートエグゼクティブ 吉田直樹氏も語っていた。
●DEBUGGER 作者:イセミト
パズル要素やパッチ,パッチエディターといった部分の作り込みなどがウリのようだったが,審査員からはむしろ独特の世界観などが評価されていたようだ。
ユニークな内容からか,カプコンの2次面接,コロプラ,セガネットワークス,ガンホー,スクウェア・エニックスの1次面接と5社から手が上がっていた。
●乱闘脱衣ボスバトル 作者:OpenGameSeeker
背景以外のアセットはすべて自分で作ったとのことで,個人開発力の高さは話題になっていた。審査の結果,スクウェア・エニックスの1次面接,フロム・ソフトウェアの2次面接権を勝ち取っていた。「難しい内容をきちんと作っている」「広範囲なものを一人でよくまとめていて,ゲームにいろんな関わり方ができそう」というのが各社の評価だ。
●MotorCity 作者:トロロ
審査員から,スマートフォンはどうかと聞かれていたのだが,コンシューマゲームでのAAAタイトル制作を目指したいと,強い思いを語っていた。まあ,モバイルグラフィックスの進化も目覚しいので,PS4程度だと数年でスマホに抜かれる可能性もないではないのだが。
そのコンシューマゲーム愛が届いてか,カプコン,スクウェア・エニックス,フロム・ソフトウェアから2次面接権が,「コンシューマもやってるんですよ」というガンホーから1次面接権を獲得していた。
●カミオリ 作者:さなぎ
プレゼンでは「新しいマッチ棒パズル」を目指して開発していたというが,開発センスと難しい処理を実現したパワーを評価する声が多く上がっていた。結果は,Cygamesから内定,スクウェア・エニックスとセガネットワークスから2次面接権,カプコン,ガンホー,コロプラから1次面接権と6社から手が上がる人気ぶりとなっていた。
●転がりBall! 作者:鵜飼俊希
独特な世界観なども評価されていたのだが,各社から手は上がらず,残念ながら面接権なしという結果になってしまっていた。
●Cyber Safer 作者:みつ
ワイヤーのターゲットとなるブロックには,通常移動用のスイングアクション,通常は行けない場所に移動するためのワープアクション,ブロック自体を引っ張って動かせるようになるムーブアクションの3種類が用意されており,ステージの状況によって使い分ける。
3Dアクションゲームとして一通りのゲーム要素を備え,しかもワイヤーアクションを試行錯誤で手作りといった難度の高い作業をこなしながら,Unity歴は6か月,しかも初めて作ったゲームとのことで,周囲を驚かせていた。
結果は,カプコンとフロム・ソフトウェアで2次面接,ガンホー,コロプラ,Cygamesで1次面接を勝ち取っていた。
●家電戦劇ファンティーク 作者:DhiArk
全体にデザインセンスもよく,音楽や効果音などもすべて自作という力作だ。プレゼンでは,チラシ風の画面デザインなので,「バナーが入っても違和感がない」など,考え抜かれたゲームコンセプトをアピールしていた。京都大学文学部という経歴も目を引いたようで「文学部なんですか?」と素朴な質問も出ていた。
結果は,セガネットワークスで2次面接,ガンホーで1次面接を勝ち取っていた。
●カスタマイズロボ(Custom Girls) 作者:NAOKI
ロボット対戦ゲームということで,フロム・ソフトウェアの鍋島氏からの質問も出ていた。スクウェア・エニックスの吉田氏によると,今回の作品の中で一番遊んだゲームだとのこと。結果は,スクウェア・エニックス,セガネットワークス,フロム・ソフトウェアから2次面接権を,カプコン,ガンホーから1次面接権を勝ち取っていた。
●Discarder 作者:NightS
消える際に,ブロックの数だけエネルギーが回収されるのだが,できるだけ隙間がないほうがよいのはもちろん,横一線が埋まっているとボーナスが発生するので,やはり綺麗に埋めていくのがよいことになる。エネルギー回収を補助するのが,プレイヤーが操るロボットだ。これには3タイプあり,隙間にブロックを生成するもの,ブロックを再配置するもの,一時的に削除してあとで取り出せるものがある。また,落ちてくるブロックを撃つことで,操作に必要なエネルギーを獲得できる。
ちょっと複雑そうに思えるかもしれないが,落ちモノの新しい形を提示しているように思われる。考え方やプレゼンなどもしっかりとしており,なかなか末恐ろしい18歳ではあった。結果は,フロム・ソフトウェアから2次面接権,カプコン,スクウェア・エニックスから1次面接権を獲得していた。
●ガリュウケンドー 作者:じっつぁん
指の相対位置で司会の邪魔をせずに操作できる「フリッカーUI」についても工夫を重ねたようで,審査員からの評価も高かった。そのほか,エレクトリックダンスミュージックと和楽器を組み合わせた自作BGMや効果音など,こだわりポイントは多い作品だ。
結果は,セガネットワークスから2次面接権を獲得していた。
こうしてプレゼン大会は終了したのだが,1次面接21,2次面接16,内定1というかなりよい成績を残したといってよいのではないだろうか。事前に資料やソースコード,ゲームを見ていた審査員も,実際のプレゼンを前にすると,その熱意などに押されて,予定より多めに面接を出したところも多かったようだ。また,大半の審査員が強調していたのは,ここで面接をもらえなくても落ちたわけではないので,一般応募でぜひやってきてほしいということだった。今回のプレゼンでは力作も多かったのだが,一発内定などはそうそうできることではない。ゲーム作りの実績だけでも,有利なのは間違いないだろう。
ユニティ・テクノロジーズにも,今回の結果は予想以上だったようで,ぜひ来年もやりたいとのことだった。ゲーム業界での就活を考えている学生は,第2回に備えておくのもいいかもしれない。
ゲームクリエイター就職大作戦公式サイト
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