週刊ダイヤモンド2014年10月18日号が「使える人材を輩出した大学ランキング」を掲載して話題となっている。転職サイトのビズリーチの会員ビジネスマンを対象とした調査結果を編集部が集計したものだ。
誌面で「使える人材を輩出している」と評価された大学は、トップが慶應義塾大学、2位が早稲田大学とダントツの高得点を獲得した。3位以下には京都大学や一橋大学、東京大学と有名大学が順当に並んでいる。ただしネットでは、この集計方法に首を傾げる人が続出している。
「使える率100%」ならハーバード大と国際教養大
集計方法は、回答者に「使える人材輩出校」「使えない人材輩出校」上位5校を問い、1位5点~5位1点をつけさせるもの。その上で「使える」の回答数から「使えない」の回答数を引いた差で得点を決めて、ランキングとしている。
この集計方法では学生数の多いメガ私大や東大・京大が有利になるのが自然で、公平感がないという声が多い。また、「使える」と「使えない」の差で並べ替えたことで、大学の「輩出人材の使える率」が反映されていないという批判もある。
「これって引き算で評価するってどうなんだろうか」
「早慶を押し上げるための集計方法だな」
そこでキャリコネニュース編集部が、表の数字を元に「輩出人材の使える率」を再計算し、並べ替えてみた。「使える」の回答ポイント数を、「使える」と「使えない」の回答ポイント総数で割り、どのくらい「使える人材」が輩出されているかを計算した。
すると1位は、「使える率100%」でハーバード大学がトップとなった。同校は、「使える」が24ポイントで、「使えない」が0ポイント。元集計では25位だった。
2位は元集計28位の国際教養大学で、こちらも「使える率100%」だ。3位以下の東京工業大学(同86.3%)や、国際基督教大学(同83.6%)、一橋大学(同83.5%)は、元集計でも上位に食い込んでいた学校だった。
一方、元集計ではトップだった慶應義塾大学は、「使える率」80.2%で7位へ、2位だった早稲田大学は72.9%で14位へと、順位を大きく落としている。元集計5位の東京大学は、「使えない」が1000ポイントを超えていたのが影響し29位となった。
人材輩出数で見るべきか、使える割合で見るべきか
とはいえ、元集計と再集計のどちらが「人材輩出大学」にふさわしいかどうか判断するのは簡単ではないかもしれない。「使える人材の数」が多い大学を評価するのであれば、元集計の基準でもよいからだ。
しかし多くの企業で「学歴フィルター」を採用するのは、その大学の卒業生が「優秀である確率が高い」という前提による。確率が思ったほど高くないのであれば、フィルターの有効性に疑問符がつく。
なお、週刊ダイヤモンドのランキングでは、ワーストランキングも発表している。トップは法政大学で、2位以下には日本大学、青山学院大学、学習院大学、獨協大学が続いている。
このランキングも、前述の方法と同様の「使えない度」で再集計すると、国士舘大学や名城大学、文教大学や亜細亜大学などが「使えない度100%」で同率トップとなる。国士舘と名城は、「使える」と答えたポイントがゼロ。「使えない」と答えたポイントが39だった。
「使える率ゼロ%」の学校をワーストにするのは、生々しすぎるという配慮があったのだろうか。もともと有効回答者数は650~800程度と多くなく、すべての卒業生を大学名で「使える」「使えない」と判断することの限界を踏まえた上での判断だったのかもしれない。
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