小さい誌面にディープな情報がみっちり詰まった「ケイブンシャの大百科」今昔物語!

2014年10月9日 19時30分 (2014年10月13日 16時00分 更新)

 まだインターネットの存在などまったく世の中に知られていなかった80年代。人々の情報源は、テレビ、ラジオ、そして雑誌や新聞などの紙媒体だった。

 それは子どもの世界でも変わることはなかった。「てれびくん」「テレビマガジン」「テレビランド」などのテレビ情報誌や、小学館の学年誌。はたまた「コミックボンボン」「コロコロコミック」などの漫画雑誌が、子どもたちの情報源として日本中で重宝されていた。

 しかし、これらの雑誌に掲載されている情報の大半は、広く浅い内容だったことも事実。
「もっと深く、もっと多くの情報を知りたい!」という具合に、子どもたちの知的好奇心は、やがて雑誌からの情報だけでは満足しきれなくなってきたのだ。そんな僕らを魅了していたのが、今はなき出版社・勁文社から発行されていた「ケイブンシャの大百科」シリーズだ。手のひらに収まるコンパクトサイズな豆本ながら、ちょっとした辞書のような分厚さを誇るこのシリーズは、まさに「大百科」と呼ぶにふさわしい充実した内容で、子どもたちにお値段以上の価値を感じさせてくれた。今回は、そんな80年代の「ケイブンシャの大百科」のお話だ。

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■オタク第1世代が大百科にもたらした影響

 まずは、「ケイブンシャの大百科」の簡単な歴史を解説しよう。怪獣ブーム真っ盛りの1971年、勁文社の編集者であった佐野眞一氏が編集を手掛けた『原色怪獣怪人大百科』が大ヒットを記録。その後、佐野氏は同社を退社しノンフィクションライターとして活動を開始するわけだが、『原色怪獣怪人大百科』は毎年、登場怪獣数を増加しつつ『全怪獣怪人大百科』として発売されるようになる。そして70年代後半に子ども向けの豆本に再編集される。これが「ケイブンシャの大百科」シリーズの第1弾となり、以降、勁文社が倒産する2002年まで続く超ロングランシリーズとなる。

 「大百科」シリーズの題材となったのは、特撮、アニメ、ゲーム、プラモデル、ラジコンといったホビーからプロ野球、映画タレント、アイドルなどの芸能・スポーツ。はたまたクイズ、お料理、昆虫、動物などの雑学まで多種多様。当時の子どもたちは、分厚い誌面に大量の情報が詰まった、コストパフォーマンスのよすぎる大百科を穴が開くほど読みふけった。このシリーズを読みすぎて、うっかりオタクの扉を開いちゃった子も少なくはないはずだ。そんな「ケイブンシャの大百科」がよりディープに、よりマニアックに進化していったのが80年代初頭のことだ。

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