「いいことも悪いこともいい思い出」
高橋大輔 引退会見一問一答
会見で高橋は、引退を決意した理由や今後の目標などについて語った。
以下、会見での一問一答。
ひと段落して大きくなった引退の気持ち
――今のお気持ちはいかがですか?
現役最後の試合が(ソチ)五輪になってしまいました。世界選手権には出ることができなくなり、今まで応援してくださった方々の前で「自分は引退します」と公言した中で、ファンの方の心の準備がないままに引退という形にをとってしまってすごく申し訳ないなと。そこは僕自身……こうなってしまってからは、やっぱり世界選手権だけは出ていれば良かったなという後悔はあるんですけれど、スケート自体をやめるというわけではなく、競技人生を引退ということなので、そこは、皆さんにお伝えすることができてよかったなと思います。
正直、現役に未練がないわけではないので、チャンスがまったくなくなったわけではなく、また復帰できるということもあって、本当に競技に戻りたいのか、全然違う道を歩むのか、また違ったスケートの道を歩むのか、と今は思っています。こういう風にバーンとなってしまったので、戻ると言っても戻りにくいかもしれないですけれど(笑)。サラッと本当は言いたかったんですけれど、でも、気持ちとしては自分の中で、3月から7カ月ですかね、(今が)一番すっきりした気持ちでいます。
――現役に未練がないわけではないという中で、それでも区切りをつけて引退すると決めた一番の理由は?
一番の理由は、気持ちとしてはソチ五輪でひとつの区切りだというふうに思っていたんですけれど、世界選手権までは決まったら出ようと思っていたので、自分の中でも区切りがついていなかったんです。今、自分の中でも次に目標ができたわけでもないですし、これから先、考えていきたいなと思っていますし。ただ、性格的なことなのかも分からないですが、自分の中で少しすっきりしたいなと。そうしないと少し休養ということで、少しでも気持ちを残しておくと、どうも次に進みにくいなというのを常々感じていた自分がいるなと。1年考えてそれで言おうと思っていたんですけれど、シニアの試合が始まる前にやっぱり言おうと。
自分の中で決めたのは早かったので、大きな理由というのは、今後のことをしゃべっていくうちに自分の中で「あ、やっぱり引退しよう」というのが大きくて。決めたのは9月の半ばなので、すごく最近です。多分、どっかに(引退という気持ちが)あったのかなとは思います。ただ、8月までは何だかんだ、アイスショーがあったりすごく忙しい中で生活していて、それがふとなくなった時に、その気持ちが大きくなったのかなと思います。
――ケガや気持ちのモチベーションが(引退の)理由として影響はあるのでしょうか?
ケガというのは大きな理由ではないですね。ただ、モチベーションという意味では理由はあるかもしれません。五輪に一度出たので、4年を考えてしまう自分がいますし、最後だと思っていたソチ五輪が万全の状態ではないというか、満足のいく結果、気持ちの上でもすっきりやり切ったという演技や結果ではありませんでした。そういったところで、またそれができるのかというと、もし現役を続けたとしても頑張れる自分がいるのか。今までソチ五輪に向かうにあたって、モチベーションを保つのがすごく難しいと感じながらやっていた部分もありました。それがまだできるのかと考えた時に、今のこの僕では不可能だなと感じた部分はあったので、モチベーションというところはあるのかなと思います。
流れのままに歩んだ競技人生
あんまり過去というか、一つ一つ終わってしまえばすぐ次に向かっていたので、振り返ることはないんですけれど、何ですかね……ないわけではないのですが、すべてが思い出だったかなと。いいことも悪いことも自分にとってはいい思い出だったかなと。どれが一番というのは難しいかなと思います。
――競技人生の中で“選手・高橋大輔”としてこれは貫いてきた、こだわってきたというところは何ですか?
こだわりは自分ではあまりないと思っています。流れのままに生きていくという。あまり強引に自分の思いを突き通すのではなく、受け入れて、それをやってみて決めるというスタンスだけは、自分の中で常々あって。人からいろんなものを吸収しようという気持ちだけは常に持って、競技人生をやってきたのかなと思います。あと、演技では独りよがりな演技をするのではなく、やはりコミュニケーションを大事にして、ひとつになるということを心掛けてきたかな。その2つくらいですかね。それもこだわっているというか、自然に、自分の性格なのかなと思いながらやってきたと思っています。
――今後のことは漠然としたものでも考えはありますか?
あんまり、ですかね。これからアイスショーなどには出させていただくんですけれど、少し引いたところから考えたいというところで、何か縁があればやっていこうかなと。ただ、自分の中では1年、2年の間は少しスケートというものから2、3歩くらい引いた生活をした中で探していこうかなと思っています。自分がフィギュアスケートというものをどこまで好きなのか、どこまで情熱を持っているのか。今までずっと、目標が次から次に出てきたので、目標を定めるということを考えたことがなくて、今、本当に戸惑っている状態で。自分が何に情熱を持って生きてきたんだろうかと考えた時に、スケートだったんだと思ったんです。これが本当のことなのか、次から次に来るものを消化してきたのかも分からないので、ちょっと引いたところで生活してみれば、どこまでスケートが好きでいたのか、これを本当にやっていてよかったと思えたのかが分かると思うので、特にあまりはっきりとは決めずに、流れのままにいこうかなと思います。
――ファンの方へのメッセージをお願いします。
ファンの方には、最後に引退という形で競技をお見せすることができなかったことをすごく後悔しているし、自分の中でも残念だなと思っています。スケートというものから完全に離れるわけではなく、皆さんの前で滑っていけたらなと思っていますし、いろんな形であっても、応援まではいかないですけれど「あんな選手がいたな」と、少しでも頭の片隅に置いていただけたらなと思います。もしかしたら違った形で出るか、それは僕自身も分からないんですけれど、そうなった時はどんな形であれ、もう1回、応援したいなと思ってくれるのであれば、また応援してもらえたらうれしいです。
Facebook コメント
新着記事
- 私たちが高橋大輔を好きな理由
- 待望のトゥクタミシェワ復活と「羽生結弦 栄光の軌跡」
- ジャパンオープン2014
- JGPクロアチア大会男子フリー&結果
- 1回転半未満も得点
- JGPクロアチア大会女子SP
- ヤン× イエン○
- JGPクロアチア大会男子SP
- JGPドイツ大会男子
- JGPドイツ大会女子
2014年10月15日1時15分 更新
お知らせ