日経平均は364円安で、1万5000円を割った。アベノミクスもいよいよ終わりだが、浜田宏一氏によると「アベノミクスの第1の矢(金融緩和)と第2の矢(財政政策)は予想以上の効果を発揮し、失業率やGDPギャップなど実質指標が全国的に改善している」そうだ。4〜6月期のGDP−7.1%は、消費増税による「ノイズ」だそうである。はたしてそうか。
上の図はJBpressでも紹介した鉱工業生産指数である。今年の初めから低下が続いており、消費増税とは無関係だ。8月になっても−1.5%と、回復の兆しはみえない。今年のGDPは、通年でゼロ成長に近いというのが大方の予想だ。GDPギャップ(潜在GDP−GDP)がほぼゼロに縮まったのは成長率が上がったからではなく、次の図のように潜在成長率が下がったからなのだ。
このように需要サイドからしか問題を見ないのが、浜田氏の世代の「どマクロ経済学」の特徴だ。たしかに大恐慌の時代には、資本が余って需要が不足していたので、財政政策で需要を追加するケインズ政策が機能した。戦後ずっと日本は、不景気=需要不足だと思ってきた。浜田氏は昨年1月に、こういっていた。
経済が供給制約に直面し、潜在成長率の天井に突き当たると、それを超えて持続的に成長することはできない。いま日本経済のボトルネックは、原発を突然止めたことによるエネルギー制約である。LNGを毎年3兆円以上も余分に輸入して、GDPの0.5%の交易損失を出していることが、コストプッシュ・インフレをまねいているのだ。
だからもっとも即効性のある経済対策は、原発を正常化してエネルギー制約を取り除くことだ。そのためには、今の違法に止まっている原発を停止する手続き(具体的にはバックフィットについての原子力規制委員会規則)をつくり、ルールにもとづいて運転を許可すべきだ。供給のボトルネックを放置したまま、「第3の矢」やら「地方創生」を掲げても、成長率は戻らない。
このように需要サイドからしか問題を見ないのが、浜田氏の世代の「どマクロ経済学」の特徴だ。たしかに大恐慌の時代には、資本が余って需要が不足していたので、財政政策で需要を追加するケインズ政策が機能した。戦後ずっと日本は、不景気=需要不足だと思ってきた。浜田氏は昨年1月に、こういっていた。
円高でエルピーダメモリがつぶれ、奇跡と言われた高度成長を担っていた輸出産業、ソニー、パナソニック、シャープなどが苦しんでいるのは、超円高のせいです。円高はドルに対して円の価値が高過ぎ、デフレはモノに対して貨幣の価値が高過ぎる。それを是正するには、他の要因も副次的には関係しますが、お金を刷って円の量を増やすのが第一歩です。円高がすべての元凶だから、円安にすれば外需が増えて、すべて解決するはずだった。彼の助言どおり政府がお金を刷った結果、円安になったが輸出は増えず、輸入が大幅に増えてしまった。彼の予言とは逆に、「金融政策の大転換」で何も解決しなかったのだ。
経済が供給制約に直面し、潜在成長率の天井に突き当たると、それを超えて持続的に成長することはできない。いま日本経済のボトルネックは、原発を突然止めたことによるエネルギー制約である。LNGを毎年3兆円以上も余分に輸入して、GDPの0.5%の交易損失を出していることが、コストプッシュ・インフレをまねいているのだ。
だからもっとも即効性のある経済対策は、原発を正常化してエネルギー制約を取り除くことだ。そのためには、今の違法に止まっている原発を停止する手続き(具体的にはバックフィットについての原子力規制委員会規則)をつくり、ルールにもとづいて運転を許可すべきだ。供給のボトルネックを放置したまま、「第3の矢」やら「地方創生」を掲げても、成長率は戻らない。