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原発停止に商機みる米GE 「火力延命化」で日本に売り込み攻勢
米ゼネラルエレクトリック(GE)は14日、既存の火力発電設備の燃料費削減や延命化を図るサービスを日本市場で本格展開すると発表した。対象の発電設備に最適な部品交換や、独自のデータ解析技術などを組み合わせ、更新投資を抑制しながら設備の延命・高効率化を実現するという。原子力発電所の稼働停止に伴い、国内電力各社で高まっている火力発電設備の最大利用と燃料費抑制のニーズを取り込む狙いだ。
電力各社に対しては、三菱日立パワーシステムズなど国内の重電各社も、老朽化が進む火力発電設備の改修による高効率化などのサービス提案を強化しており、GEの参戦で顧客獲得競争が激しくなりそうだ。
今回、GEが提供する高効率化サービスの1つである「9EMax」では、火力発電の中核であるガスタービンを、燃焼器や熱回収機器などの周辺機器を交換することなく更新し、設備性能を向上できるという。 これまでの一般的なガスタービン交換では、周辺機器を含めた一括更新が必要とされているが、GEは燃焼器の稼働を自動的にコントロールするなどの独自のソフト技術を応用することで、設備改修を最小限に抑えたタービン更新を可能とした。同社では、電力各社がこうした効率化サービスを適用すれば、最大で年間600万ドルの利益増につながるとみている。
国内では原発の再稼働が進まない中、火力発電への電源依存度が高まっている。40年以上稼働を続ける老朽火力発電所の割合は、平成22年度には機数ベースで15・4%だったが、25年度には26・2%まで上昇している。火力向けの燃料費の負担増などで厳しい経営状況が続く電力各社の設備投資余力は限られており、既存設備利用の需要は今後、一段と高まるとみられている。