エボラ出血熱:防護すきだらけ 欧米で2次感染

毎日新聞 2014年10月14日 22時49分(最終更新 10月14日 23時46分)

担当したエボラ出血熱患者から感染した看護師の回復を祈って病院前に集まった同僚ら=マドリードで2014年10月14日、ロイター
担当したエボラ出血熱患者から感染した看護師の回復を祈って病院前に集まった同僚ら=マドリードで2014年10月14日、ロイター

 アフリカ大陸からのエボラ出血熱感染者の治療にあたった医療関係者の2次感染者が米国とスペインで相次いだ。防護策と医療体制が整っているはずの欧米で2次感染が起きた原因は、わずかな油断、感染予防訓練の不足、病院の予算不足などの可能性が指摘されているが、特定はされていない。エボラ熱拡大の不安が高まる中、防護対策の見直しが始まった。【パリ宮川裕章、ワシントン及川正也】

 米疾病対策センター(CDC)は12日、西アフリカのリベリアで感染し、渡米後に発症して8日に死亡したリベリア人男性の治療に当たったテキサス州ダラスの病院の女性看護師の感染を確認した。

 AP通信によれば、この看護師はニナ・パームさん(26)。防護服を着て治療に当たったが、脱いだ際に付着した体液に触れてしまった可能性があるという。また、男性が人工透析器や人工呼吸器を必要としたため、体液に触れる危険が高まったとの見方もある。

 CDCのフリーデン所長は12日、「(パームさんが)2次感染防止マニュアルに違反した」と指摘したが、看護師団体から反発されて謝罪。CDCは13日、感染防護策の見直しの必要性を認め、防護服の着脱訓練や着脱時の第三者監視の導入を決定、新防護服の整備や防護服消毒も検討を始めた。さらにパームさんと同じ原因から新たな感染が起きる可能性があるとみて、70人の医療関係者を新たに監視リストに加えた。

 リベリア人男性は9月26日に発熱して病院を訪れた際、抗生物質を処方され帰宅させられた。2日後に隔離されるまでに男性が接触した人間は監視されていたが、パームさんら防護服を着けて治療にあたった医療関係者は監視対象とされていなかった。

 一方、スペインの首都マドリードでも6日、リベリアとシエラレオネで感染した神父2人を受け入れたカルロス3世病院の女性看護師テレサ・ロメロさん(44)が感染した。地元紙によると、ロメロさんは9月24日、隔離された病室に入り、シーツやおむつを交換。「病室を出て防護服を脱ぐ際に、使用した手袋で顔を触ってしまった気がする」と話しているという。

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