The Island Times

1983年生まれの男の日常。大阪、神戸あたりをぶらぶらしてます。スポーツとスイーツが好きです。

サッカー観戦を今より楽しむために『深読みサッカー論』を読んだ

 いよいよアギーレJAPANが始動しました。本日もシンガポールでのブラジル戦を控えています。現在まで1勝1敗1分け。まあこんなもんでしょう。新しく選ばれた選手も順調に活躍しているのでこれからが楽しみです。

 前回のエントリーでも書きましたが、読書リハビリで大好きなサッカーの本を読んでいます。

 というわけで今回読んだのは『深読みサッカー論 (日経プレミアシリーズ) 』です。これは2014年ブラジルW杯の代表選手発表前に刊行された本なので、少し古いのかな。まあでもこれはW杯に関することではなく、サッカーを大局的な視点で見て、さらに観戦を楽しもうといった本です。この中で自分が特に興味を持ったところを紹介します。

この本の著者について

山本昌邦

 現在はサッカー解説などでお馴染みですね。主な経歴は2002年日韓W杯日本代表コーチ、2004年アテネ五輪日本代表監督。

武智幸徳

 日本経済新聞記者。

内容紹介

勝敗は試合の前に決まっている―。経験豊富な解説者と記者による本音のサッカー対談。「国際大会でチームはどうマネジメントするのか」「あの選手、あの監督の真の実力とは」「プロだから語れる技術論、戦術論」など、ユニークかつ深奥い視点で、サッカー観戦が10倍面白くなる一冊。(引用 - 『深読みサッカー論 (日経プレミアシリーズ) 』裏表紙)

 著者2人の対談形式で進行していきます。

ドイツ代表について→その後のW杯で優勝

 大会前からドイツの前評判は高かったと思います。ドイツが優勝すると思っていた人もたくさんいたと思います。山本氏もドイツ代表を高く評価していました。

山本 ドイツ人って一人ひとりがメンタル的に強いから、タフな環境にも強い。流れを変えられる選手も何人かいるし、何よりもチームが成熟しているから隙がないし、交代のカードがことごとくいい仕事をします。

山本 勝負所で強いというのは、交代のカードで入ってきた選手が、みんなものすごく仕事をするからなんですね。疲れた相手の弱いところをどんどん突くし、自分たちがちょっと苦しくなったときに、疲れた仲間をしっかりカバーできる。そういう力があります。

 特に「修正能力」「試合の分析力」と言う部分を評価しています。試合中にそれを戦術に落とし込むことができるというのが、監督一人の力ではなくチームとして成り立っているからドイツは強いと。

 その言葉通りかどうかわかりませんが、決勝では交代で入ったアンドレ・シュールレのクロスをマリオ・ゲッツェが決めましたね。

子どものうちは局面の1対1は絶対に負けるな、勝負しろ、ボールを取りに行け

山本 たとえば、守備についても、いまの日本の指導の現場では子どものころに「最初から飛び込むな」なんていう指導をしているのを見かけることが多いのですが、飛び込ませればいいんですよ。飛び込んできたディフェンスをどうかわすかという能力もストライカーの側には求められているんですから。「むやみに飛び込むな」なんて指導をしていたら、それを鍛える場もなくなってしまいます。

山本 ところが、最初から大人が答えを教えるようなやり方で「飛び込まずに相手の攻めを遅らせろ」などと教え込む。これではいけない。自分で気付くことが大切なんですから。なぜかというと、飛び込んだほうがいい局面もあるからです。

 これはストライカーの育成の話につながるわけですが、ぎりぎりのところで何をどう学ぶかで、すごい才能が育つと。

 確かに攻撃も守備も自分と相手の間合いを体感して知るというのは大切だと思う。この距離ならボールを取れるとか、この距離なら足が届くとか。それは別にサッカーに限ったことではなくて、仕事で相手と駆け引きする時もそうだろうし。

10年後に今回U-17で使われたセンターバックが日本代表になれるかどうか検証したい

山本 あとはセンターバックですが、高さと強さ、サイズは絶対に必要だと思うんです。その点で言うと、先日、日本サッカー協会のS級指導者のリフレッシュ研修会があって、2013年のU17ワールドカップを戦った吉竹博文監督が講師を務めたんですね。その研修会で秋田豊という元日本代表が手を挙げて、吉竹監督に質問をしたんですよ。U17の日本代表のセンターバックは身長が180センチもない。2人とも175センチくらいで。これで将来、日本代表のセンターバックになれるんですか、世界で戦えるんですかって。

山本 吉竹監督の考えが、いいのかどうかはわからないし、正解もない。また本当に高さのある選手がいなかったということもありえる。ただし、10年後に今回U17で使われたセンターバックが日本代表に選ばれるかどうかはきちんと検証したいんですね。

 これについては本当にそうだなと。アンダーエイジではもちろん勝つことも重要だが、やはり育成がメインだと思う。勝ちながら育てるというのは非常にハードだけど上の世代、いずれはフル代表に繋がるようにしていってほしい。

その他

 高校サッカー、大学サッカー、ユースについての話はおもしろかった。日本のそういう環境が非常に特殊であること。国体の参加資格を16歳以下にしたことでのメリット・デメリットなど。

まとめ

 山本氏の育成にかける思いは熱いです。この本を読んで、また山本氏に育成世代の監督・コーチを務めてほしいなと思った。オレみたいなサッカー素人でも楽しく読めました。