福岡・博多の食といえば、「とんこつラーメン」を真っ先に思い浮かべる人が全国にはたくさんいるだろう。白いスープと独特の香りのラーメンは、九州の地方食からすっかり全国区となり、アジアを中心に海外進出も果たした。福岡は地元住民が毎日のようにとんこつラーメンを食す「ラーメン王国」の印象もあるが、本当にそうなのか――。
違う。実は、福岡にはラーメン店に勝るとも劣らないほど、うどん店があり、しかもうどん発祥の地という伝説もある。福岡は香川と並ぶもう一つの「うどん王国」だったのだ。(九州総局 津田大資)
理由(1)歴史
博多駅の北西500メートル。臨済宗東福寺派の承天寺(じょうてんじ)境内に一つの石碑が建っている
「饂飩(うどん)蕎麦発祥之地」
石碑にはこう刻まれている。鎌倉時代の仁治3(1242)年に開山した駿河(静岡県)出身の聖一国師(しょういちこくし)が、中国・宋から博多へ製法を持ち帰ったのが、日本のうどんの始まりとされる。
西南学院大名誉教授で観世音寺(福岡県太宰府市)住職、高倉洋彰氏(71)=考古学=は、うどんが博多発祥であることを提唱する。
研究のかたわら、博多の麺文化のルーツを探ろうと、30年間1日1杯のラーメンやうどんを食べてきた。中国大陸でも麺を食べ歩き、中国内モンゴル自治区などで、現在の日本のうどんとほぼ同じ製麺方法を確認した。
高倉氏によると、博多は平安時代末期から日宋貿易の拠点だった。貿易に熱心だった平清盛が、大宰府の幹部「大宰大弐(だざいのだいに)」だったこともある。
copyright (c) 2014 Sankei Digital All rights reserved.
Facebookコメント