経済学賞に仏の学者 寡占規制の在り方提唱10月13日 20時48分
ことしのノーベル経済学賞に、一部の企業による寡占状態にある産業への新しい規制の在り方を提唱したフランスの経済学者が選ばれました。
スウェーデンの王立科学アカデミーは13日(日本時間の13日午後8時すぎ)、ことしのノーベル経済学賞にフランスのトゥールーズ第1大学の教授、ジャン・ティロール氏(61)を選んだと発表しました。
ティロール氏は、一部の企業の寡占状態にあって市場原理が働かない産業への規制について研究し、価格の上限を設定するといったやり方では、大企業にコスト削減を促す利点がある一方で過大な利益をもたらすなどの弊害があることを明らかにしました。
そのうえで、情報通信から金融まで幅広い産業に適用できる新たな規制の在り方を提唱しました。
王立科学アカデミーは「ティロール氏は、現代において、最も影響力のある経済学者の1人だ。ティロール氏の研究によって、大企業が生産性を高めるだけでなく、競合する企業や消費者の利益を損なわないよう、各国政府は促すことができるようになった」と評価しました。
電話での会見に応じたティロール氏は「政府は、経済効率や起業家精神をつぶさないように配慮しながら、規制をうまく実行に移さなければならない」と述べたうえで、グローバル化が進むなかで国家間の協力が深まることに期待を示しました。
「世界の経済学をけん引」
ことしのノーベル経済学賞にジャン・ティロール氏が選ばれたことについて、産業組織論などが専門で国内外の経済学者に詳しい大阪大学大学院の安田洋祐准教授は「ティロール氏が中心となって80年代に提唱した産業組織論や寡占市場の分析にゲーム理論の考え方を導入する方法は、その後の世界の経済学をけん引し、EUの経済政策にも影響を与えていて、その業績は大きい。ティロール氏は、手がけてきた論文の数が群を抜いて多いことで知られ、海外の研究機関で使われる教科書には必ずと言っていいほど彼の論文が使われるなど、ヨーロッパでは最も注目されている経済学者の1人といえる」と話しています。
「受賞は当然」
アメリカのマサチューセッツ工科大学でティロール教授の授業を聴講したことがあるという、企業組織に詳しい学習院大学の宮川努教授は「ティロール氏は企業組織論を専門とする経済学者で、80年代にゲーム理論を使い、企業と労働者の双方がどうすればメリットを得ることができるか、市場の原理に頼らずに事前の契約で補うことができると提唱した。こうした研究が、今後、日本や世界の企業に適用できるのか、自分の研究として実証を続けていきたい。ティロール氏はとにかく頭の回転が速い方で、いろんな分野で業績を挙げていて、受賞は当然だと思う」と述べました。