子供の体力:下降続く…80年代ピーク 文科省調査
毎日新聞 2014年10月13日 08時00分
文部科学省は12日、「2013年度体力・運動能力調査」の結果を発表した。東京五輪が開催された1964年度の調査開始時から子供の体力や運動能力が向上し、多くの種目で80年代にピークを迎えた後、下降していることが分かった。専門家は「五輪でスポーツ熱が高まったがテレビゲームの普及で運動しない子が増えたことなどの影響ではないか」と指摘。同省は「20年の東京五輪を見据え、学校や地域で子供が運動する機会を増やしたい」と、向上策を検討している。【三木陽介】
調査は64年度以降毎年実施。今回は50回目の節目だったこともあり、過去50年の推移を初めて調べた。13年度は昨年5〜10月、6〜79歳の計約6万4000人を対象に実施した。
小学6年(11歳)▽中学2年(13歳)▽高校2年(16歳)の男女について64年度から継続している4種目(小学生は握力、50メートル走、ボール投げ、反復横跳び。中高生は反復横跳びではなく持久走)の推移を調べた。小学6年の50メートル走は男女とも64年度から上昇し、85年ごろを境に下降。中学2年と高校2年の握力や、中学2年の持久走もほぼ同様に80年代がピークだった。
内藤久士・順天堂大大学院教授(運動生理学)は「東京五輪を機にスポーツをする子が増えて体も大きくなったが、85年ごろからテレビゲームが普及し、体を動かさない遊び方が出てきた影響も考えられる」と分析する。ただ、学校で向上策に取り組む動きも進んでおり、小学6年の50メートル走や中学2年の持久走は98年ごろから上昇傾向もみられる。
一方、ボール投げのうち小学6年男子、中学2年女子、高校2年女子は64年度以降下降傾向が続く。内藤教授は「昔は多くの男の子が遊びの中でキャッチボールをしていたが、今はそういう機会も減った」と説明する。
唯一伸びている種目が反復横跳び。20秒間に1メートル内で左右の横跳びを繰り返す種目で、当初は小学5年以降が対象だったが、98年度から小学1年以降に引き下げられた。内藤教授は、体力がさほど必要ではない▽小1から測定をしているので慣れる−−などが要因とみている。